民法典施行後、保証期間を如何に約定するべきか?
2021年1月1日より施行された『民法典』における保証期間の関連規定は、元『担保法』及び相応の司法解釈と比べれば、変化が大きい。
『民法典』の関連規定によると、債権者と保証人の間に約定がなく、又は約定が不明確である場合は、保証期間は主たる債務の履行期限の満了日から6か月とする。同時に、『〈中華人民共和国民法典〉における担保制度の適用に関する最高人民法院の解釈』第32条では、保証契約には、「保証人が主たる債務の元利完済まで保証責任を負う」というような約定がある場合は、約定が不明確であると看做され、保証期間は主たる債務の履行期限の満了日から6か月とする、と定めている。一方、前『担保法司法解釈』第32条第2項によると、保証契約には、「保証人が主たる債務の元利完済まで保証責任を負う」というような約定がある場合は、約定が不明確であると看做される。保証期間は主たる債務の履行期限の満了日から2年とする。
要するに、約定が不明確な場合での保証期間は「2年」から「6か月」になっている。立法主旨からみて、法定保証期間変更の目的は、保証契約の片務性・無償性に鑑み、保証人が過重な責任を負うことを回避し、保護することにあると思われる。
債権者の立場に立って考えれば、保証期間を長くしたい場合、「主たる債務の元利完済まで保証責任を負う」というような約定を避け、具体的な保証期間を明確に約定すべきである。
では、保証期間に上限はあるのだろうか?3年、5年さらには10年の保証期間約定も有効だろうか?
まずは中国最高裁の既存判決を見てみよう。
(2019)最高法民申6911号事件において、Y社は2014年に馮氏にお金を貸し、張氏と彭氏が馮氏の連帯保証人として『民間金銭貸借契約』に署名した。『民間金銭貸借契約』では、保証人は契約における全ての債務に対して連帯保証責任を負い、保証期間は返済期限の満了日から5年とすることを約定した。貴州の裁判所は第二審において、「馮氏が契約に従い保証責任を履行すべき」と認定した。それに対して、張氏と彭氏は、保証期間を2年超えた場合、超過分の約定は無効だと主張し、「5年の保証期間の約定が有効と認定した原判決には法律の適用に誤りがある。」と再審を申立した。
最高裁は再審判決において、以下のことを指摘した。「本件における『民間金銭貸借契約』では5年の保証期間を約定した。第32条でいう「約定が不明確である」状況に該当しないため、第32条を適用して約定が無効であると認定することができない。又、法律、行政法規の強行規定に違反する状況も存在しない。5年の保証期間の約定の効力を認める原判決は妥当である」
つまり、『民法典』施行後、法律、行政法規では保証期間の上限を設定していないため、どれぐらいの保証期間を約定するかは債権者と保証人の意思により決定する。
なお、主たる債務の訴訟時効より保証期間が長い場合に問題になるかについては、実は、保証債務と主たる債務はそれぞれの履行期限、訴訟時効があり、互いに矛盾しない。主たる債務の訴訟時効が切れているが、保証期間が満了していない場合は、保証人は保証債務の従属性から、主債務者の債権者に対する時効経過を抗弁することができる。逆に、債権者の立場に立って考えれば、主たる債務の訴訟時効より約定された保証期間が長い場合は、有利な約定が有効に働くよう、債務者に債務履行を催促していた証拠を保存しておくよう心掛ける必要がある。