基準更新に関する企業の注意点

国家基準、業界基準、地方基準、企業基準及び団体基準は、いずれも製品の品質を評価する物差しといえる。特に国家強行基準は遵守が義務付けられているものであり、地方基準は地方規定に基づいて「広義の強行基準」の範疇に組み込まれることが多い。また企業基準が明確でない場合に、特注品取引において品質トラブルが発生したら、業界基準が重要な裁判根拠となる可能性がある。したがって、企業は自社に関連するあらゆる基準の動向に注意を払う必要があり、基準改定や更新が行われた際は、その内容及び対応方針を速やかに検討する必要ある。関連事項は主に以下のとおりである。

  1. 新基準では過渡期間が定められているか?

『国家標準管理弁法(2022)』第35条及び『業界標準管理弁法(2023)』第21条では、国家基準・業界基準の公布と施工までの間には合理的な過渡期間を設けるべきである」と規定している。

『地方標準管理弁法(2020)」では過渡期間について規定はないが、実務においては、各省・市が現地の標準管理弁法における過渡期間を設定していることが一般的である。

『団体標準管理規定』では過渡期間を定めていない。ただし、団体基準の適用対象は当該団体に加入している企業に限定されるため、影響範囲は限定的である。

又、基準の体系上、業界基準と地方基準の有効期間は国家標準の施行によって影響を受ける可能性がある。例えば、『業界標準管理弁法(2023年)』第21条には、「業界基準は、相応の国家基準の施工に伴い、国務院関係行政主管部門が廃止するものとする」と規定している。

実務においては、企業は具体的な基準ごとに過渡期間が規定されているかに留意し、関連資材の調達、生産、販売など各プロセスにおける計画や対応方法を事前に整備しておく必要がある。

  1. 過渡期間中に適用すべき基準は?

『国家標準管理弁法(2022年)』第35条、『強制性国家標準管理弁法』第39条及び『業界標準管理弁法(2023年)』第21条の規定によると、基準の公布後、施行されるまでの間は、企業が旧基準または新基準のいずれかを選択することが可能であるとしている。

  1. 新基準の施行後、施行前の旧基準に従って生産され、未販売の在庫がある場合は、どうすべきか?

『標準化法』第25条の規定によると、強行基準に適合しない製品・サービスは、生産、販売、輸入又は提供を原則として禁止される。新しい強制的国家基準の施行後、旧基準に従って生産された商品の在庫品については販売の可否を一概に論じるわけにはいかない。例えば自動車「国六」基準(注:国家第六段階自動車汚染物質排出基準を指す)の施行後、「国五」(注:国家第五段階自動車汚染物質排出基準を指す)基準の車両は生産禁止に加え、既存の在庫販売も認められなかった。一方、『商品の過剰包装制限要求 生鮮食用農産品』(GB43284-2023)には、「施行日より前に生産又は輸入した生鮮食用農産品は賞味期限までは販売可能」と規定している。

非強行基準については原則として企業による自主的判断に委ねられるが、実務において、他に監督管理レベルの強制的要件が設けられた地方規定の存在にも注意を払う必要もある。例えば、海南省ではティーカップに生分解性紙コップの使用を義務付けている。また任意加入である団体基準は団体構成員にのみ強制力を有する。

  1. 輸入品に関する留意点

実務において、特に以下の二つの問題に留意する必要がある。

まず、輸入段階において、新基準の適用時期について統一的規定はないため、個別に確認する必要がある。例えば、2012年第41号公告(2025年廃止)では、税関は「新たに公布された食品安全国家基準施行日から、輸入食品はすべて検査申請日を基準として、一律に新基準に従って検査を実施する」ことを要求している。税関総署公告2022年第136号(乳幼児用調合食品、プロセスチーズ等の製品輸入における食品安全国家基準検査関連要求の執行に関する公告)には、「新国家基準の施行日以前に生産・輸入され、旧国家基準に合致する製品は、国内基準実施に関する規定及びWTO規則に基づき、賞味期限内に引き続き輸入・販売することが可能である」と明確に規定している。したがって、企業は税関総署による公告に注意を払い、特定の輸出入商品ごとに確認し、不明な点があれば速やかに税関に確認することが重要である。

第二、国内だけでなく国外の基準の動向にも留意する必要がある。『輸出入商品検査法(2021年改正)』第7条では、目録に記された輸出入商品については、強制的国家基準に従って検査を実施するべきであると規定している。強制的国家基準がない場合は、国家商品検査部門が指定する国外の関連基準に従って検査を行う。つまり、検査の根拠は強制的国家基準だけとは限らない。