『対外投資管理弁法』が2026年12月1日より施行

「一帯一路(注:中央アジア諸国とロシアを経てヨーロッパに至る陸のシルククロード(一帯)と、マラッカ海峡、スエズ運河を経てヨーロッパに至る海のシルクロード(一路)という、2つのルートから成るもの)」構想の進展に伴い、中国企業の海外投資は件数においても形態においても急増している。2017年に公布された『企業海外投資管理弁法』(以下『2017弁法』という)は、実務における様々な新課題に対応できなくなった。こうした状況を受け、2026年10月15日に『対外投資管理弁法』(以下『2026弁法』という)は可決され、2026年12月1日より施行されることになった。

以下、『2017弁法』との対比を通じて、『2026弁法』について簡潔に説明する。

1、適用主体の拡大

『2017弁法』の適用主体は国内企業(国外企業を支配し、再投資する場合を含む)に限定され、居住者個人及びその他の組織を含まない。『2026弁法』の適用主体は国内企業(海外企業を支配することによって再投資する場合を含む)、居住者個人及びその他の組織を含む。この改正は、2026年7月1日に国務院が公布した『対外投資に関する国務院の規定』に定められた「個人を監督管理の対象に含める」という要求を実行したもので、今後個人の投資移民も管理対象となる。

2、対外投資保護に関する章節の新設

『2026弁法』第50条から第55条では、国家発展改革委員会による対外投資保護のルールを明確にしている。総じて言えば、『2026弁法』は投資先国(地域)による不当な措置、差別的な監督管理、威圧的な要求への対応に役立ち、「監督管理+保護」という双方向メカニズムを構築することで、越境紛争や海外政府の強制措置が発生し、企業が権利を守る場合の手続き上の根拠となる。

条項 ポイント
第50条 国家の国外における利益及び投資家の合法的権益を保護するため、国家発展改革委員会は投資家に対して重大なリスクの防止及び対応について指導を行うことができる。
第51条 投資家及び国外被投資企業にガバナンス体制を整備させ、リスク識別・防止・対応強化などの要求を明確にした。
第52条 国家発展改革委員会は投資家又は利害関係者に対し、リスクに関する注意喚起を行うことができる。
第53条 投資家がオンラインシステムを通じて重大な不利事象を直ちに報告すべき3つの状況は規定されているが、いずれも国家の利益、国家の安全、外交関係に関わり、一般的な商取引については含まれない。
第54条 投資家は対外投資情報年次報告書を毎年提出するものとする。国家発展改革委員会は、当該報告書に記載された海外における差別的措置等に対して、投資家の要請に基づき、相応の対抗措置を講じることができる。
第55条 いかなる国家(地域)も国際組織も国際法および国際関係の基本準則に違反し、投資・経営等の分野において中華人民共和国に対して差別的な禁止、制限またはその他の類似措置を講じる場合、国家発展改革委員会は相応の対抗措置を講じることができる。

 

3、高額な初期費用について承認・届出を行う必要がある。

『2026弁法』第34条には、「対外投資に必要な初期費用(履行保証金、保証状手数料、仲介サービス料、資源探査費等を含む)の規模が大きい場合、投資家は本弁法第12条及び第13条の規定を参照して、初期費用について承認・届出を申請することができる。」と規定している。承認又は届出を経た初期費用は中国側投資額に算入される。

これまでの実務において、初期費用は通常15%の比率に抑えられていたが、『2026弁法』では「規模が大きい」の程度が定められていない。この規定は、過去に一部の特殊プロジェクトで初期費用が15%の上限を超えるという問題を解決する一方、企業が初期費用という名目を悪用して資金を国外へ流出させる可能性も排除できないため、国家発展改革委員会と国家外貨管理局による監督管理はより一層厳格化される見込みである。