昇進に対して「考査期間」を設定できるか

昇進後にすぐに新しい役職に適応できる従業員もいれば、能力や心構えなどにより、期待通りの成果を上げられない従業員もいる。そのため、一部の企業では、従業員のために「試用期間」や「考査期間」(以下、「考査期間」と総称する)を設けている。従業員が昇進後の「考査期間」中に業績が振るわず、会社の期待に応えられない場合、通常、元の役職や元の賃金体系に戻される。しかし、一部の企業は『労働契約法』における「不適任」に関する規定に基づき、労働契約を解除する。では、こうした措置は法的に有効なのでしょうか?

「考査期間」について、現行の法令には関連規定が存在しない。従って、企業が関連制度の制定や従業員と約定を結ぶ際には、実務上の紛争や訴訟リスクを最小限に抑えるために、規則を明確かつ合理的なものにしておく必要がある。

「規則の明確性」とは、主に考査期間の長さ、考査期間中の待遇、評価基準、考査期間終了後に不適任と判断された場合の対処法などを明確に定める必要があることを指す。「規則の合理性」とは、主に規則を制度化するときに、規定の合理性を確保する必要があることを指す。規則が不合理であると認定され、規則に基づく会社の決定に有効性が損なわれること、また著しく厳しく設定し、従業員の意欲や主体性を阻害する事態を避けることができる。

まず、考査期間の長さについて、明確な規定がないため、原則として双方の合意に基づき、自由に決定することができる。考査期間が長すぎると、従業員の意欲や精神的な安定に悪影響を及ぼすことは明らかである。特に、考査期間中は昇給がない、又は昇給額が抑えられるといった規定がある場合はなおさらである。『党政指導幹部選抜任用工作条例』第43条では、一定の職務の地位にある、かつ選挙によって選ばれた者でない指導的役職者に対し、1年間の試用期間を設定することを定めている。この規定に照らし、企業が考査期間を設定するときは、1年以内とすることが望ましい。昇進する従業員は、一般的に一定の勤続年数を有していることを考慮すると、試用期間に関連する規定を参照にしながら、考査期間を3か月から6か月と設定するのが妥当であると考えられる。

次に、考査期間中の賃金待遇については、3つの設定方法がある。(1)昇進後の役職の賃金待遇基準を適用する。(2)賃金待遇は当面据え置きとし、元の役職の基準を適用する。(3)昇進後の役職に応じた賃金待遇基準をもとに割引する。これらの設定方法にはそれぞれ一長一短がある。(1)の場合、従業員のモチベーションが最も高くなるが、考査期間終了後に不適任であると判断され、元の役職と元の賃金待遇に戻された際に、心理的な落胆を経験することになる。(2)の場合、従業員の責任が増すにもかかわらず、賃金が変わらないことに対して不満を抱く可能性がある。(3)は、(1)と(2)の両方に配慮するものであるが、具体的な割引について慎重に検討する必要がある。又、(2)と(3)の場合、従業員が賃金を満額支払われなかったとして、会社に差額分の賃金を求める可能性は排除できない。ただし、有効かつ明確な規則制度がある場合は、裁判所は従業員の請求を認めることはない。例えば、(2025)粤0113民初2381号および13394号事件の従業員が会社に差額分の賃金を求めた訴訟で、就業規則に昇進後に考査期間が設けられ、考査期間終了した翌月から昇給するという規定があったため、裁判所は従業員の請求を退けた。

第三に、考査期間中の評価基準については、評価結果の公平性、合理性、有効性をめぐる紛争を避けるために、客観的かつ定量的な基準を設定する必要がある。

第四に、考査期間終了後の処遇については、通常、「考査期間終了後に不適任と認定された場合は、元の職位及び/又は待遇に戻す」と規定しておくのが一般的である。職位及び/又は待遇を元の職位より低いものに変更する場合は、不合理であると認定されるリスクが高い。例えば、(2025)粤0112民初15585号事件において、「昇進後に考査期間を適用する。考査期間中に不適合や不適任と認定された場合、会社は元の職位またはその他の同等の職位に調整する権利を有する」という社内規定があった。考査期間終了後、会社は翌月の業績評価が基準に達していないことを理由に、対象従業員を2階級降格させた。降格後の賃金は昇進前の賃金に比べて40%近く減額したが、裁判所はこの会社の降格処分を違法と認定した。

また、会社が考査期間中に「不適任」と判断し、『労働契約法』における「不適任」の関連規定に基づき労働契約を解除するケースも見られるが、通常、リスクが高いため、この方法を選択する場合は慎重に検討するべきである。

最後に、実務において手続きのコンプライアンスと慎重性を確保し、過失による不利益な結果を避けることが重要である。例えば、(2026)粤1973民初8104号事件において、昇進は所定の承認プロセスを経たが、のちに会社は従業員の資格審査に手続き上の誤りがあったとして昇進を取り消したが、裁判所はこれを認めなかった。