第三者から担保を取得する場合の注意事項
担保は債権回収を保障する重要な手段の一つである。第三者が債務者に対して担保を提供するにあたって、担保の有効性及び実現可能性について慎重に検討しなければならない。債権者は第三者の担保を受け入れる際にどのような点に注意すべきだろうか?
まず、担保主体の立場から考えれば、第三者が担保を提供する場合は、第三者による担保の提供が本当に可能であるかを確認する。これは主に2つの問題に係わる。①主体資格において、第三者は保証の提供が禁止されている主体に該当しないか。②保証を提供する場合は法定の前置条件はないか。
前者については、『民法典』第683条では、「機関法人は保証人になってはならない。但し、国務院の許可を得て外国政府または国際経済組織の貸付を利用して転貸する場合を除く。公益を目的とする非営利法人、非法人組織は保証人になってはならない。」と、保証人になってはならない2種の主体を明確にしている。民法典担保制度の司法解釈第5、6条では、これをさらに細分化し、制限の範囲を拡大している。明確に規定された例外状況を除き、住民委員会、村民委員会が担保を提供する場合、担保契約は無効となる。
後者については、『会社法』第15条において、「会社が他の企業に投資し、または他人に担保を提供する場合、会社定款の規定に従い、取締役会または株主会が決議を行う。会社定款で、投資または担保の総額及び単一投資または担保の金額について制限が設けられている場合は、所定の限度額を超えてはならない。会社が株主または実質的支配者に担保を提供する場合は、株主会の決議を経なければならない。前項に規定する株主又は前項に規定する実質的支配者の支配を受ける株主は、前項に規定する事項の議決に参加してはならない。当該議決は、会議に出席した他の株主の保有する議決権の過半数によって可決される。」と規定している。同法第135条には、「上場会社は1年以内に重要な資産の購入、売却、または他人に提供する担保の金額が会社の総資産額の30%を超える場合、株主会が決議を行い、かつ会議に出席した株主の保有する議決権の3分の2以上によって可決されなければならない。」と規定している。そのため、会社が保証を行う場合は、保証提供のために経るべき議決手続き、担保限度額、議決主体などを含め、法定の前提条件を満たすことを確保する必要がある。民法典担保制度の司法解釈においても、『会社法』第15条の手続要件に違反する瑕疵への対応について、善意の債権者に対する保障などを定めているが、個別案件における司法判断のリスクを回避するためにも、初期段階の手続上の瑕疵などの問題が発生しないよう努めなければならない。
実務において、会社が人的担保を受け入れる場合、以下の2点に留意する必要がある。(1)相手方に登録機関ファイル部門の捺印済みの最新定款の提出を求め、議決手続き、主体、担保限度額を確認する。(2)決議書の捺印の真正性を確認する。例えばタイムスタンプなどで個人株主の署名を録画するなど。
その他、第三者による担保が提供可能であることを確認するほか、人的担保を提供する第三者の信用性を審査する必要もある。例えば、債務返済能力、訴訟状況など。
次に、担保方式の観点から考えれば、第三者が物的担保を提供する場合は、財産の性質、権利所属及び優先権などを確認するべきである。物的担保には抵当と質入れの2つの方法がある。『民法典』第399条では、所有権、使用権が不明または係争中の財産、法によって封印、差し押さえ、または監督管理されている財産などを含め、6種の財産は抵当に入れてはならないと規定している。民法典担保制度司法解釈第49条では、「違法な建物を抵当に入れた場合、抵当契約は無効となる。ただし、一審の法廷弁論終結前に適法に手続きしたものを除く」と規定している。そのため、物的担保を受け入れる際は、対象物が法により抵当禁止の範囲に該当するものではないことを確認するべきである。債権者は取引前に、抵当、質入れの財産状態を調査することを勧める。例えば不動産登記簿を調べ、権利の帰属を確認し、封印、差し押さえまたは抵当などの状況がないか、居住権を設定しているか、他人に賃借または占有されていないか、“封印”の紙が貼られていないかなど現地に赴き、調査する。また、物的担保が不動産、持分、設備などの場合、不動産取引センター、市場監督管理局、中登網などのプラットフォームにより登録することができるので、善意の第三者に対抗できず、先取特権を失う事態を回避するために、極力、登録手続きを行うべきである。
最後に、担保範囲、保証期間、担保方式などの担保契約条項は、慎重に扱わなければならない。例えば、保証方法として、連帯保証を約定していない場合、一般保証と見做される。保証期間が約定されていない場合、保証期間は主たる債務の履行満了日から6か月間である。抵当者による財産譲渡を禁止について約定していない場合、抵当者は財産を譲渡することができるなど。