疫病予防、制御を理由に、社員の旧正月帰省を禁止できるか

2021年の旧正月が近づいてきている。複数の地域で、コロナウィルス感染者数が再び増加している。各地の政府は相次いで「旧正月帰省自粛」を呼びかけ、多くの学校でも「原則として学校を離れることを禁止する」という通知を出された。このような背景もあり、多くの使用者は、社員の健康や旧正月連休後の仕事手配から、社員が勤務先所在地に留まることを望む。では、使用者が社員に対して「旧正月帰省禁止」を求めることはできるのだろうか?

疫病の流行が『伝染病防治法』及び地方の防疫政策における「都市封鎖」などの措置の対象要求に達している場合、企業が社員の旧正月帰省を禁止することは法規や政策の執行に該当し、不当にならない。それ以外の状況において、法定休暇をいかに利用するかは、社員の自由であり、企業に社員の旧正月帰省を阻止する権利はない。

但し、企業はなす術がないわけではなく、依然として柔軟な管理態度で社員の決定に影響を与えることができる。具体的には、以下の方法が考えられる。

第一に、休暇管理をきちんと実施すること。殆どの地区の政策では、帰省前後の一定期間の隔離について定めている。従って、7日間の旧正月連休以外に、隔離により休暇の取得が必要となった場合、社員は使用者に年次有給休暇又は私用休暇を申請するしかない。年次有給休暇の利用について、使用者は合理的に手配する権利があり、又私用休暇の申請に対して拒否する権利がある。

第二に、社員教育。使用者はコロナウィルスの関連資料やデータを整理し、旧正月大移動が社会や家族や故郷の友にもたらしうる危害を説明し、社員に「愛」と「孝」を如何に体現するべきかを考え、合理的に選択するように促す。

最後に、「旧正月帰省自粛」意欲を高めるために、出稼ぎ社員に対し「旧正月帰省自粛奨励」又は一定の日数の有給休暇を別途与える方法も考えられる。

実は、使用者が社員のプライバシーをどこまで制限できるかは終始、議論を招く問題である。それは、企業の社員に対する人事権と社員のプライバシーの権利の間にグレーゾーンが存在するからである。使用者による社員のプライバシーに対する制限が必要かつ合理的な範囲を超えると、その正当性は認められない。制限の必要性と合理性については主に企業の業務特徴、倫理文化、職場の性質などにより判断されることとなる。例えば、社員が運転手である場合、使用者による「勤務前24時間以内の飲酒を禁止する」という要求は、社員本人と乗客の安全保証が目的であるため、通常裁判所に認められる。又、企業の規則制度において、倫理が強調され、公序良俗の尊重が要求される場合は、社員の不倫又は買春などの行為に対して企業が相応の処分を下す場合は、裁判所がそれを認める可能性が高いと思われる。