販売店契約と販売代理店契約の見分け

    諸種の原因を考慮し、一部の企業は、貿易会社を通じて自社の製品を販売するビジネスモードを選択し、そのための契約を締結する。実務において、関連契約の名称は各社まちまちであり、「販売代理店契約」があれば、「販売店契約」もあり、内容に関しても様々である。では、当事者双方はどのような契約を締結し、どのようなことを約定するべきか?

    中国『契約法』各則で定められる契約類型には、「販売代理店契約」や「販売店契約」は含まれていない。従って、『契約法』第124条によれば、「代理販売契約」や「販売契約」は『契約法』総則の規定を適用する一方、『契約法』各則又は他の類似規定を参照することができる。 

    判例によれば、「販売店モード」とは、メーカーが一つ(独占)又は複数の卸売業者を選択し、指定区域で製品を販売させ、即ちディーラーがメーカーから製品を買い取った後に転売することを指す。従って、法的性質を考えれば、メーカーとディーラー間の関係は売買関係に該当するため、『契約法』各則における売買契約の関連規定を参照することになる。「販売代理店モード」とは、メーカーが一つ(独占)又は複数の卸売業者に製品の販売代行を依頼し、一定の割合で利益を支払うことを指す。この場合に、メーカーと代理店間の関係は代理関係に該当し、『契約法』各則における委託契約又は仲介契約の関連規定を参照することになる。

    「販売店モード」と「販売代理店モード」の区別が分かれば、「販売店契約」と「販売代理店契約」の区別は容易に理解できると思われる。

    第一に、特別な約定がなければ、販売店契約における目的物の所有権は、目的物引渡時点から、ディーラーの所有に帰属する。販売代理店契約における目的物の所有権は、目的物引渡以降もなおメーカー(売り手、以下同様)の所有に帰属し、目的物が売却されていなければ、代理店は随時所有権を主張することができる。

    第二に、特別な約定がある場合を除き、ディーラーは無断で販売店契約における目的物の返却を要求できないため、目的物の売れ行きに対するリスクを負う。それに反し、売れ行きが悪くても、代理店はいつでも販売代理店契約における目的物の返却を要求することができる。

    第三に、販売店契約における目的物は買い手に引き渡された後、ディーラーが自由に販売でき、例えば、販売価格等を自由に設定でき、メーカーには干渉する権利がない。販売代理店契約においては、目的物の売れ行きが悪い場合、販売代理業者はメーカーに提案することができ、さらに販売代理店契約を停止して返品を要求することができる。    

    第四に、販売店契約におけるディーラーは目的物の価格差による利益を追求し、目的物の代金は単価と総額によって構成される。代理販売契約における代理販売業者は代理販売による役務報酬を追求し、目的物の代金は単価、取引総額、手数料などによって構成される。

    第五に、販売店契約の場合、支払日を納品前又は納品後に約定したり、分割払いにしたりすることができる。販売代理店契約における代理店への手数料などは、原則として目的物売却後に支払う。

    以上のことから、「販売店契約」と「販売代理店契約」の一部の約定、例えば、価格、品質、納期、納品方式などでは類似しているが、二つの契約の法的性質は異なるため、契約当事者は双方の本意をつかみ相応しい約定をすることが妥当だと思われる。