減資の留意事項

2023年に改正された『会社法』(2024年7月1日より施行)には出資期限に係る規定が導入されたことに伴い、減資ブームが起きた。近年、経済環境の変化により、様々な理由で減資を選択する企業も少なくない。『会社法』で減資の手続に関する規定が定められているものの、実務上は状況に応じて要件が異なる。注意を怠れば不要なリスクを招く可能性がある。そこで、以下では、有限責任会社における減資の際の主な留意点を整理する。

まず、減資の目的に応じて、手続きが異なる。

減資の目的 減資の根拠及び手続の要点
会社が欠損はないが、将来の経営(例えば事業縮小、後継者問題など)を考慮した上で、株主が減資を提起した。 減資手続は『会社法』第224条に基づき実施する。通常、「一般手続」と呼ばれ、要件は以下の通りである。

1)貸借対照表と財産目録を作成する。2)株主総会が減資決議を下す。3)減資決議が下された後10日以内に債権者へ通知し、かつ30日以内に公告を行う。4)債権者は通知を受けた日から30日以内に、または公告日から45日以内に会社に対し債務の弁済または担保の提供を要求することができる。5)債権者の同意を得た後、会社定款を修正し、変更登記手続を実施する。

会社に欠損があり、株主が減資による損失補填を提起した。 減資手続は『会社法』第225条に基づき行われる。「簡易手続」と呼ばれており、要件は以下の通りである。会社が債権者に通知する必要はなく、株主が決議を下した日から30日以内に公告する。

「簡易手続」と「一般手続」の区別は、前者の場合、減資の資金は会社に留保され、会社全体の資産は減少しない。一方後者の場合は、減資の資金は株主に分配されるか、または株主の資本金払込義務が免除され、会社全体の資産が減少することに相当する。

株主が資本金払込義務を履行せず、又は出資金を引き出したため、会社が減資を提起した。 減資手続は『会社法』第52条及び『会社法司法解釈(三)』第17条に基づいて行われる。これは「特別手続」と呼ばれ、上述の2つの手続との違いは、発起主体が株主ではなく会社であることだ。「一般手続」に基づき、出資金払込督促状発行後の猶予期間が60日以内、および株主が依然、出資義務を履行しなかった場合に、株主に対して権利喪失通知を発行しなければならないという要件が追加された。

次に、減資の割合に応じて、減資の際の必要書類も異なる。

複数の株主が存在する場合、①等しい割合で減資する、②方向性減資の2つの状況が想定される。方向性減資とは、特定の株主のみが減資を行う、または特定の株主の減資割合が他の株主と異なることを指す。『会社法』第66条には、「定款に別段の定めがない限り、減資は3分の2以上の議決権を有する株主によって採択しなければならない」と規定している。仮に方向性減資においてもこの条項が適用されると、大株主が小株主を抑えこむ状況が必然的に生じる。そのため、『会社法』第224条では、方向性減資を行う場合は、法律に別段の定めがある場合、或いは全株主間で別段の約定があることを要件としている。言い換えると、全株主の同意が必要であるということである。

さらに、業界毎の規制要求に応じて、減資手続が異なる。例えば、金融業界(銀行、保険、証券、先物取引など)における減資は、前置の審査許可が要求されているので、まず許可書類を取得後に、後続の手続を進めることができる。国有企業の場合も、相応の特別減資要求がある。例えば、方向性減資を行う場合、事前評価を行う必要がある。

最後に、役員(取締役、監査役、管理職)は信義義務をしっかり履行しなければならない。2023年改正後の『会社法』では、役員は会社の登録資本を維持するという責を担うと強調している。『会社法』第266条の規定によると、違法な減資により会社に損害をもたらした場合は、責任者である役員が賠償責任を負う。