独占禁止の新規則において販売代理店を如何に管理するか?

製品の市場における統一的なブランドイメージを維持し、安定した販売チャネルを確保するために、多くのメーカーは販売代理店の管理において最低小売価格やバグセール(注:販売代理店が販売エリアを越えて意識的に販売する)に対するペナルティなどの措置を設定している。しかし、これらの措置は垂直的独占と認定されるリスク伴うことも少なくない。2013年に初の垂直的独占に係る行政処分事案(茅台と五糧液が販売代理店の最低転売価格を限定する行為に対して、国家発展改革委員会がそれぞれ2億元以上の過料を科した)が発生して以来、垂直的独占に係る行政事案と民事事案は決して珍しいものではなくなってきた。

2022年に改正された『独占禁止法』では「セーフハーバー」制度を導入した。さらに2026年2月1日より施行されている『独占的協定の禁止に関する規定』(2025年改正)では、「セーフハーバー」の適用判断に関する定量的指標を一層明確化している。

『独占的協定の禁止に関する規定』(2025年改正)第17条によると、以下の2つの典型的な垂直的独占行為については、協定期間中に一定の条件を満たしている場合に、競争を排除・制限する効果を有しないと推定され、禁止の対象とはならない。

(1)価格制限型の垂直的独占禁止協定。例えば小売価格を限定する等。「セーフハーバー」の定量的指標には、事業者と取引相手双方のそれぞれの市場シェアが5%未満で、かつ係る商品の年間売上高が1億元未満であることが含まれる。

(2)非価格制限型の垂直的独占禁止協定。例えば転売先を限定する等。「セーフハーバー」の定量的指標は、事業者と取引相手、それぞれの市場シェアが15%未満である。

「セーフハーバー」の定量的指標の導入により、レッドラインがより明確になり、「販売代理店を管理したいが、判断基準が不明瞭なため管理できない」という企業の懸念が一定程度解消された。その一方で、企業に対して垂直的協定をより客観的かつ適切に管理し、規定違反のリスクを回避することが求められていると言える。

では、企業はどうように対応すればよいのか?

結論から言うと、企業は「セーフハーバー」に該当するか否かについて速やかにセルフチェックを行うべきである。

セルフチェックの際の確認項目は主に以下の点が含まれる。

(1)『関連市場の定義に関する国務院独占禁止委員会のガイドライン』に基づき「関連市場」を定義する。

(2)市場シェアの分母を確定する。分母の確定は非常に複雑であるが、行政法執行と司法実務において最も一般的なのは、統計局、業界協会、独立機関の報告書などに記載されたデータに基づいて確定する方法である。それ以外に、関係分野や経済学などの専門家に市場調査や経済分析の意見を求めることも重要である。例えば、『独占民事紛争事案の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈』第11条には、「当事者は裁判所に対し関連分野及び経済学などの専門家の出廷と専門的な説明を申請することができる」と規定している。コンプライアンス上のセルフチェックという観点からは、企業はまず国家統計局及び比較的権威のある業界協会や調査機関のデータを参照し、判断すると良い。分母の種類としては、売上高や営業収益が最も一般的であるが、販売量、生産量、生産能力、インターネットプラットフォームのアクティブユーザー数などが採用されることもある。分母のデータは常に変動するため、企業は動的な市場データを継続的に監視するシステムを構築すると良いことが重要だ。

(3)市場シェアの算定における分子を確定する。分子は分母のタイプに基づき確定する。ただし、分子の算定において、販売業者の市場シェアを計算する際に当該メーカー製品のみのデータを対象とするのかそれとも同種商品全体を対象とするのかについては法律上明確にされていない。例えば、A社がブランド Aの歯磨き粉を製造し、販売代理店がブランド Aとブランド Bの歯磨き粉を販売している場合に、販売代理店の市場シェアは、ブランド Aの歯磨き粉の販売実績のみに算定すべきか、それとも両ブランドの歯磨き粉の販売実績を合わせて算定すべきだろうか。『独占的協定の禁止に関する規定』はこの点について明確に規定していないが、同種製品全体の売上高を算定すべきだと思われる。その理由は、法執行機関が販売代理店の市場シェアを算定する際に、関連市場は通常、単一ブランド市場と定義することは一般的ではないからである。

セルフチェックの結果、「セーフハーバー」の定量的指標に合致しない場合は、速やかに必要な措置を講じ、関連する販売契約または販売管理制度の約定を修正するべきである。

最後に特に指摘しておきたいのは、「独占的協定の禁止に関する規定」に定められた「セーフハーバー」の定量的指標は大多数の分野を対象としているが、知的財産権や自動車などの特別な分野については、それぞれの特別規定が適用されることである。例えば、『知的財産権分野に関する独占禁止ガイドライン』及び『自動車産業に関する独占禁止ガイドライン』で設定された市場シェアの基準は5%ではなく、30%である。