集団契約はいつ発効するか

集団契約とは、使用者と従業員が法に基づき、労働条件などの事項について団体交渉を行った上で締結する書面による合意をいう。集団契約は従業員個々の同意を経たものではないが、全従業員に適用されるため、その締結及び発効については一定の要件が設けられている。

関連規定に基づくと、集団契約の締結及び発効手続きは以下の通りである。

(1) 草案の策定:使用者と従業員代表が協議し、合意の上で集団契約草案を作成する。

(2) 表決:草案は従業員代表大会または全従業員に付議し、審議を行う。審議には従業員代表または従業員3分の2以上の出席が必要であり、かつ全従業員代表または全従業員の過半数の賛成をもって可決される。

この段階において特に注意すべきことは、『労働契約法』では表決方法を明示的に限定していないものの、『企業民主管理規定』(総工発[2012]12号)第20条では「従業員代表大会における選挙及び表決は、多数決の原則に基づき全従業員代表の過半数の同意をもって可決するものとする。重要事項については、無記名投票により項目別に採決を行うものとする」と規定している。これを踏まえ、一部の地域では集団契約の表決方法が限定されている。例えば、『上海市従業員代表大会条例』第11条には、「以下の事項については従業員代表大会に報告し、かつ従業員代表大会の審議を経て可決されなければならない:(一)労働報酬、労働時間、休息休暇、社会保険・福利などに係る集団契約草案……」と規定している。同条例第31条には、「従業員代表大会が事項を審議・可決する場合は、無記名投票による採決を採用し、全従業員代表の過半数の賛成をもって可決するものとする」と規定している。したがって、上海市では、労働行政部門の審査に通らないというリスクを避けるため、労働報酬に係る集団契約草案については、無記名投票で採決することが望ましい。

(3)署名:草案可決後、使用者及び従業員の首席代表が署名する。

(4)審査:集団契約は締結日から10日以内に、3通を作成の上、労働部門に提出し、審査を受ける。労働部門は受領日から15日以内に審査を行い、異議がある場合は、使用者及び従業員代表に「審査意見書」を送付する。当該期間内に異議の申し立てがない場合、集団契約はその時点から発効する。労働行政部門の審査を経ていない集団契約については、訴訟が生じた場合、裁判所が当該集団契約は発効していないものと判断される可能性がある。(2025)鄂05民終2364号及び(2020)晋07民終556号をご参照ください。

(5) 公布:発効後、集団契約は速やかに適切な方法で全従業員に周知しなければならない。

では、表決において集団契約案が否決された場合はどのように対応するべきか?例えば、景気悪化に伴い、会社が集団契約で定められた一部の待遇の見直しを希望するものの、従業員代表の過半数の同意が得られないケースが考えられる。『集団契約規定』第49条によれば、「協議過程において紛争が生じた場合、労働部門に協議の調整を申請することができる。また申請がない場合であっても、労働部門が必要であると判断した場合、職権により調整処理を行うことができる」と規定している。これは当事者間の「二者間協議」を労働部門も加えた「三者間協議+調整」を認めたということに相当する。ただし、労働部門の介入にも限界がある。労働部門による介入はあくまで調整処理にとどまり、合意の成立を保証するものでも、法的拘束力を有する行政措置が伴うものではない。

集団契約の期間満了後、新たな集団契約が表決により可決されなかった場合は、どのように対応するべきか?海南省においては、期間満了後の集団契約の関連規定を引き続き適用する旨が明文化されている。他の省・市では明確な規定はない場合も含め、実務上は基本的に同様に従前の契約内容が引き続き適用する取扱いが一般的である。

集団契約条項の設定にあたっては、使用者は特に福利厚生などの条件はのちに引き下げることは困難であるということを考慮しておく必要がある。そのため、可能な限り、条件付きの条項を設けることが望ましい。例えば、会社の収益がX%低下し、損失が出た場合は、これに伴い特定の福利厚生の見直しや停止をする可能性がある等。