AIを利用した広告生成はどのようなリスクがあるか
AI技術および産業の発展に伴い、その高効率、低コストという特性から多くの企業が利用している。AIを利用した広告生成も普及しつつある。ただし、広告宣伝内容を適切に管理しなければ、行政処分等の法的リスクを招くだけでなく、企業のブランドや信用を損なう可能性もある。以下、AIを利用した広告生成により直面し得るリスクと、その対応策について整理する。
【リスク1】 AIが生成する広告は著作権法による保護を受けるのが比較的難しい。人間が創作した広告と比較すると、AIによって生成される広告は『著作権法』が求める「作品の独創性」を欠くと評価されるリスクが相対的に高い。人間による広告創作は、過去に見聞きした作品の影響を受ける可能性はあるが、世に全く同じ葉が存在しないように、模倣や盗作ではない限り、一定の独創性がある。現在、AIが生成する作品に対する司法上の主流見解は、その独創性の有無を基準としている。理論的にAIを定規や電子作図ツールと同様に位置付けることができる。つまり、プロンプトやパラメータなど、AIに対する指令に独創的な選択やアレンジメントがある場合、AIによって生成された作品は『著作権法』による保護を受ける作品に該当する。ただしかし、AIデータベースには既に膨大な参照要素が存在するため、プロンプトやパラメータに対する独創性が不十分で、単純な要素の寄せ集めに過ぎない場合、通常、著作権法上の保護対象とは認められない。また、プロンプトやパラメータ等の要素に対する独創的な選択やアレンジメントを行ったことを立証できるかどうかも極めて重要である。例えば、(2024)蘇0582民初9015号事件において、裁判所は「原告は創作過程の原始記録を提出できず、AI生成結果に対して十分な個別化的選択と実質的貢献を行ったことを証明できないため、係争画像は著作権法上の作品に該当しない」と判断した。
【リスク2】 広告による権利侵害で賠償責任を負うリスクがある。AIは単純な電子作図ツールとは異なり、大量のデータ(画像・文章・音声要素)を与えられることでその知能を発揮する。そのため、プロンプトやパラメータの選択・設定における独創性が不十分な場合、無許可による「参考画像に基づくAI生成画像」や「AIによる音声の無断転用」が生じた場合、上述のリスク1に加えて、他者の権利侵害に該当する可能性がある。
【リスク3】 ソフトウェア利用協議書またはプラットフォーム協議書違反で違約責任を負うリスクがある。企業がAIソフトウェアを利用する場合、通常、ソフトウェア権利者とユーザーサービス協議書やユーザーライセンス協議書などを締結する必要がある。協議書で定められた授権範囲やライセンス範囲を超えて使用すること、例えば協議書では利用目的が非商用に限定されているにもかかわらず、企業がAIソフトウェアで商用広告を生成した場合は、違約になる。また、大型プラットフォームに広告を掲載する企業があるが、AI生成広告に対するプラットフォームの特別な要求を満たさないなど、プラットフォーム協議書に違反する場合も違約に該当する可能性がある。
【リスク4】 コンテンツの規制違反、または適切な表示の欠如による監督リスク。AIソフトウェアが、『広告法』の関連要求に合致しているか、例えば陳述内容の真実性、倫理道徳、極限表現などを自動的に判断することができないため、人為的な審査を行わない場合は、法令違反となるリスクが生じる。2025年9月1日施行の『人工知能生成合成コンテンツ表示弁法』によると、企業はAIが生成したテキスト、音声、画像や動画等のコンテンツにおいて、明示的または暗示的な表示を追加しなければならない。この点は、見落とし、あるいは意図的に表示を避けた結果、もたらされるリスクである。
以上のことから、企業はAIを利用して広告を生成する場合、以下の4ステップのコンプライアンス審査手順を実施することが望ましい。
- 広告主、AIソフトウェア、広告掲載プラットフォームとの協議書を慎重に審査し、知的財産権条項、商用の可否、権利侵害責任分担等を明確にする。
- 制作過程を残す。企業の知的投入を示すため、企業はAIソフトウェアを使用して作品を生成するプロセスを保存するべきである。例えば、初期の文案、創造的なアイデア、プロンプト、参考画像に基づいたAI生成画像、複数回にわたるパラメータの調整、修正、最適化、選別の記録など。
- 後期の審査を重視する。いかなるAI生成物を公開する前に必ず人的検証を実施するべきである。特に広告の真実性、倫理道徳、明示的・暗示的表示の有無に注意する。
- 著作権およびデータセキュリティ意識を強化する。AIソフトウェアを利用する従業員またはサプライヤーに対し、AIツールに「与える」情報が他者の権利を侵害しないよう、かつ営業秘密、個人情報等を含まないよう、データセキュリティ分野の要求に合致するよう注意喚起する。