職業病リスクを伴う職位への配置転換は慎重に行うべき

『労働契約法』第8条には、「使用者は労働者を募集・採用する際、労働内容、労働条件、勤務場所、職業上の有害要因、安全生産状況、労働報酬、その他労働者が知り得るべき事項について、事実に基づき労働者に告知しなければならない。……」と規定している。このため、多くの使用者が、職業病リスクを伴う業務における労働者を募集・採用する際、当該リスクに関する事項を十分に告知することに留意している。『職業病防治法』第33条第1項には、「使用者は労働者と労働契約を締結するにあたり、業務において生じ得る職業病の危害およびその結果、防護措置ならびに待遇等について事実に基づき労働者に告知し、かつ労働契約に明記しなければならず、隠蔽または欺罔してはならない。」と規定している。これは『労働契約法』第8条に係る「職業病リスクを伴う業務に従事する労働者」を採用する際の告知義務を具体化したものであり、使用者は履行にあたりこの点に特に注意しなければならない。

実務においては、配置転換を行う際に、就業規則に使用者の一方的な配置転換権が規定されているか否かのみに着目し、職業病リスクを伴う職位の特殊性を軽視する使用者は少なくない。

職業病リスクのある職位は労働者の健康に影響を及ぼす可能性があるため、新規採用時に労働者の知る権利を重視し、労働者の同意を得る必要がある。在職中に職業病リスクのある職位へ異動する際についても、『職業病防治法』において、労働者の知る権利を明確に規定し、双方の合意を要求している。同法第33条第2項では、「労働者が労働契約締結後に職位または業務内容の変更により、従前の労働契約において告知されていない職業病リスクを伴う業務に従事させることとなる場合、使用者は前項の規定に従い、告知義務を履行するとともに、労働契約の関連条項の変更について協議しなければならない。」と規定している。使用者が当該規定違反を犯した場合、第33条第3項の規定によると、「労働者は職業病リスクを伴う業務に従事することを拒否する権利を有し、使用者はこれを理由として労働契約を解除してはならない。」と規定している。

以上のことから、労働者を職業病リスクの伴う職位へ異動させる場合、使用者の雇用管理上の自主権は制限を受け、上述の法律の強行規定を遵守する必要がある。多くの判例がこの点を明らかにしている。論理的にも理解しやすい。仮に『職業病防治法』第33条第2項より使用者の雇用管理上の自主権を優先させる場合、当該規定は実効性を失うことになる。さらに、使用者が労働者を職業病リスクのない職位に採用し、その後一方的に配置転換権を行使し、労働者を職業病リスクのある職位に異動させることが可能であれば、『労働契約法』第8条も『職業病防治法』第33条第1項も間違いなく形骸化することになる。

では、職業病リスクのある職位から職業病リスクのない職位への異動であれば、何の問題ないのだろうか。実はそうではない。以下の点に特に留意する必要がある。①『職業病防治法』第35条によると、労働者に職業関連の健康被害が認められた場合、配置転換を行うものとする。したがって、この場合の職業病リスクのある職位から職業病リスクのない職位への異動は、使用者の法定義務である。②新しい職位の業務内容が労働者の身体状態に適しているか、賃金の変動幅が合理的な範囲にあるかを検討する必要がある(職業病リスクのある職位は通常、手当がつくため、同等の他の職位より賃金が若干高い可能性がある)。法定事由による配置転換の場合、賃金の引き下げ幅は過大であってはならず、配置転換後の同一職位の賃金水準にも配慮する。

また、実務上、『職業病防治法』第35条に規定された「配置転換を行わなければならない」状況に該当する場合であっても、労働者が収入維持などの理由で配置転換を希望しない場合は、自発的に同意書を締結することがある。しかし使用者がこれを認めた場合、処分を受けるリスクがある。『職業病防治法』第75条により、是正を命じられ、5万元以上30万元以下の過料を科される可能性がある。情状が深刻な場合は、より厳しい処分を受けることになる。もし労働者が配置転換を断固として拒否する場合、使用者は関連証拠を保存した上で、『労働契約法』第40条の「客観的状況に重大な変化が生じ」、協議したが合意に至らなかったとして、労働契約を解除することができる。