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    ソフトウェア開発契約に潜むリスクの対策

        ITの発展に伴い、企業は第三者に委託して、公式ウェブサイト、モバイルアプリケーション、管理システムソフトウェア等各種ソフトウェアを開発してもらい、企業の業務管理や広告宣伝に用いることが多い。一方、これにより、ソフトウェア開発契約に係る紛争案件数も増加してきている。  

        その原因を考えると、主に以下のことにあると思われる。その一つは、ソフトウェア開発において専門性の高いIT用語が多用され、委託者が関連技術を熟知していないため、約定される契約内容が簡略又は曖昧になりやすい。もう一つは、ソフトウェア開発の弾力性及びその成果が無形で成果物を検収するにあたり、明確な判断がし辛いため、紛争が生じやすい。

        本文では、委託者の立場から、ソフトウェア開発契約紛争によるリスクをいかに削減するかについて分析させていただく。

        前述した通り、紛争多発の主要な原因は約定される契約内容が簡略すぎ又は不明確であると思われる。上海知的財産法院による2015-2016年コンピュータソフトウェア契約紛争案件の纏めによれば、実務においてソフトウェア契約紛争案件の焦点は、技術成果の帰属以外に、「主にソフトウェアの品質、機能が契約の約定に合致するか否かにある」。従って、委託者は関連の契約において最低限として以下の内容を明確に約定する必要がある。

        1、技術成果の帰属。『契約法』、『著作権法』等の関連法律、司法解釈の規定によると、契約ではソフトウェア著作権等の権利帰属を明確に約定していない場合、それらの権利は依然として開発者(受託者)の所有に属し、委託者は無償使用権のみを行使できる。従って、委託者は著作権を取得できないと判断した場合、契約において委託者の使用権限などを明確に約定する必要があり、さもなければ、委託者の使用は創作のための特定の目的のみに限られる(浙江省高級人民法院(2013)浙知終字第289号民事判決書を参照する)。

        2、必要な機能、モジュール、開発基準、テスト/検収/引渡の要求及びその流れ、開発要求変化の処理及びその流れなどの各事項について、具体的で明確な約定を行う。深刻で複雑な技術に係る場合は、専門的な技術用語に対して厳格に定義していく必要がある。例えば、契約において、引渡対象となるAPPソフトウェアにはソースコード、コンパクトディスク、技術ドキュメント、バックグラウンドドキュメント、ユーザーガイド、操作マニュアル、インストールガイド及びテスク報告、さらに許可されるBUG数など具体的に列挙すれば、間違いなく裁判官による違約責任の認定に役立つと思われる。

        3、違約に係る事項及び相応の責任を明確にする。違約に係る事項は、具体的に引渡義務の違反、支払義務の違反、秘密保持義務の違反、又請け/下請けに関する約定の違反などを含むが、それらに限られない。実務において、よく見られることは、ソフトウェアの機能や要求について、開発者が約定条件を満たしたと判断したのに対して、委託者は関連要求を満たしていないと判断したため、トラブルとなり、一連の紛争が起き、訴訟と反訴が相次いで提起される。リスクを最小限又はなくすために、異議提出期間、検収期間、書面による技術成果の段階的報告などについて委託者が要求を提出し、契約に反映させることが必要である。

        4、後続のメンテナンスや秘密保持などを明文化する。責任のなすりつけ合いを防止するために、後続のメンテナンスの範囲、方式、対価、責任などに関しても明確な約定を行わなければならない。又、開発者が通常委託者の営業秘密に接触しうるため、契約において「開発者は契約の有効期間内にも期間満了後も、接触しうる委託者の営業秘密に対して秘密保持する義務がある。」ことを明確に約定するよう勧める。

        一つ注意すべきことは、孟子の諺の通り「徒法は以て自ら行うこと能わない」。特に、ソフトウェア開発契約の履行において、開発の状況に応じてソフトウェアの機能を調整又は具体化したり、開発基準、ソフトウェアの要求を変更したりすることがよくある。 従って、委託者は交渉又は合意に係る証拠を有効に保存するように注意すべきである。例えば、書面にて補充協議書を締結したり、又はメールやチャット記録などの電子証拠を保留したりするなど。

        最後に、上海知的財産法院による、最近、判決が言い渡された多数のソフトウェア開発契約紛争事件に対する分析によると、委託者は関連契約の履行について以下のことに特別注意する必要がある。(1)委託者が成果に対して期限を超えても異議を提出しない場合、裁判所は契約解除の主張を認めない可能性がある。(2)受託者が履行を遅らせた場合、委託者が受託者から引渡された成果物に対して受領、検収などを異議なく行った状況下では、委託者は受託者の違約を理由に契約解除を請求することが、認められない可能性がある。