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    代行署名による法的リスク及びその対策

    李さんと王さんは会社設立の手続を某コンサルティング会社に委託した。王さんが別の都市で働いていたため、代行業者は、便宜を図るため王さんの代わりに関連文書に署名した。3年後、王さんがその持分を第三者に譲渡するための持分譲渡手続を行った際、工商行政管理機関は、王さんの署名が最初に登録された際の署名が異なるため、工商変更登記手続を拒否した。王さんはどうすればいいか分からず困っている。

    『会社法』、『会社登記管理条例』、『企業法人登記管理条例』等の法令では、会社の登録、変更、抹消登記を行う場合、関連文書に会社の出資者、取締役の署名が必要で、虚偽の資料(代行署名をされた資料を含む)を提出した場合、是正を命じられたり、罰金に処されたり、営業許可証を取り上げられたりするなどの責任が追及される。又、民法の関連規定によると、被代行者は署名代行者に対し違約又は不法行為責任を追及することができるとされている。

    では、異なる状況の下で、被代行者はいかに自分の権利を守るか?

    被代行者が、文書における署名を代行されたことを事前に知らず、当該文書の法的効力を認めない場合、主に行政的手段により関連行政行為を撤回し、賠償を要求するか、又は民事的手段により関連する責任を追及する。例えば、本人の知らないうちに他人が会社設立の目的でその名義を利用した場合、『行政許可法』第69条の規定、「下記の状況のいずれかに該当する場合、行政許可行為を撤回することができる:……許可を受ける者が詐欺により行政許可を取得した場合。」によって、被代行者は行政機関に対し、行政許可の撤回を求め、異議申立ないし行政訴訟により自分の権利を守ることができる。

    署名の代行により、被代行者が実損を受けた場合(例えば、持分譲渡において、許可が得られないため、関連当事者である出資者は配当金及び持分譲渡対価を受け取ることができない、又は会社の抹消登記を行う際に、財産の分配を受けることができないなど)は、行政行為の撤回を申立すること以外に、被代行者は工商行政管理機関を被告として、行政賠償を請求する、又は署名代行者や会社(会社が明らかに状況を知っている場合にのみ)に対し損害賠償を請求することもできる。但し、注意すべきことは、『最高人民法院による行政許可案件の審理における若干問題に関する規定』第13条では、「……被告(注:工商行政管理機関)が法的手続に従い、審査職責を慎重かつ合理的に履行し、他人の行為により行政許可決定が違法になってしまった場合は、賠償責任を負わない。……」と明確に規定している。従って、もし被代行者は、工商行政管理機関が審査職責を慎重かつ合理的に履行しなかったことを証明できなければ、工商行政管理機関に対する賠償請求は認められない。

      なお、事後措置はあくまでも「亡羊補牢」であり、予防的措置を講じることが最も根本的である。予防的措置に関しては、以下の通りであるが、その限りではない。(1)自分の身分証明書を適切に保管するとともに、他人に無断で利用されたり、代行署名をされたりすることを防止する。(2)他人に手続を委託する際に、委託協議書において代行署名などに関する違約行為について厳格に約定する。(3)業務代行の委託に必要な文書及び手続を理解?把握し、適時に審査?確認するとともに、他人につけこまれたり、便宜を図られたりすることを防止し、不要なリスクと損失を回避する。