どのような場合に代替取引規則が適用されるか

甲社と乙社は契約を結び、白菜を130元/トンと約定した。しかし、甲社が2回目に商品を購入する際、乙社は350元/トンで計算することを要求した。甲社は同意せず、最終的に元の契約より高い購入価格で他の売り主から購入せざるを得なかった。その後、甲社は訴訟を提起し、乙社に差額を賠償するよう請求した。甲社の主張は認められたのか?(判例出所:(2024)魯0283民初12625号)

民法典契約編通則司法解釈第60条には、「契約を遵守する当事者が法により契約解除権を行使し、代替取引を実施した場合において、契約履行後に得られる利益は代替取引の価格と契約価格の差額によって確定すべきであると主張する場合、人民法院はこれを認める。代替取引の価格が代替取引発生時の現地の市場価格から明らかに乖離しており、違約者が契約履行後に得られる利益は市場価格と契約価格の差額によって確定すべきであると主張する場合、人民法院はこれを認める。」と規定している。

これがいわゆる代替取引規則である。これによると、契約を遵守する当事者が相手方の重大な違約を理由に契約を解除し、同様の目的を果たすため他者と契約を締結した場合、代替取引の価格が当初の契約と比較して自身とって不利であれば、当初の契約の違約者に二つの契約の差額を賠償させるよう請求することができる。

しかしながら、上述の司法解釈と司法実務に基づくと、契約を遵守する当事者の関連請求が認められかについては、違約者が根本的に違約したかどうか、代替取引が必要かつ合理的であったか等によって判断される。

第一に、違約者の違約が根本的なものでなければならない。つまり、契約を遵守する当事者の根本的な目的が達成されない。

次に、代替取引の必要性である。主に契約を遵守する側が違約者に対し、違約行為の是正を合理的に促したか否か、また目的物の不足程度及び代替取引の緊迫性などがある。例えば、(2023)滬0115民初101370号事件において、裁判所は、「違約側は契約を遵守する当事者から何度も催促を受け、かつ合理的な履行期間を与えられたにもかかわらず、依然として履行しなかった。目的物がオーダーメイド製品であり、再販売できない。」と判断し、契約を遵守する当事者が目的物を廃品として換金するという代替取引を認めた。

そして、代替取引の合理性である。主に代替取引の価格、目的物、時期である。価格が市場価格より大幅に高い、目的物と当初取引との差額が大きい、また時期が大幅に遅れているなどの場合は、合理性も認められにくくなる。下記ではいくつかの典型的な事例を挙げて説明する。(2024)渝0153民初3594号事件において、裁判所は「原告が提供した市場価格の証拠は一方的な引合いに過ぎず、市場価格の普遍性の特徴を十分に反映していない。」と判断した上で損失額を決定した。

(2024)吉0402民初1397号事件においては、契約を遵守する側の当事者は市場価格の変動によって代替取引の賃貸料が大幅に減額したと主張したが、その後、同じ地域、同じ面積の店舗について対外的に賃借人を募集する際の価格は依然として代替取引価格の2倍であった。裁判所は「価格変動は契約を遵守する当事者自身が操作したもので、かつ柔軟性が大きい。」と判断し、最終的にこの訴えを認めなかった。(2024)内04民終3196号事件においては、裁判所は、「代替取引により購入した石炭の品種と品質基準は双方が締結した「石炭売買契約」と一致しているため、代替取引における石炭は売買契約における石炭と一致していると認定するべきである。」と判断した。(2024)鄂0106民初13668号事件において、裁判所は、「張氏は2024年7月に熊氏の根本的な違約行為を認識しており、速やかに代替取引を行うことができたにもかかわらず、2024年11月になって訴外者に関連不動産を売却したことが証拠から判断できる。代替取引の時期は十分な合理性を有さない。」と判断した。

以上のことから、相手の違約により、代替取引の方向に転換しようとする際は、以下のポイントに注意すべきである。

1、証拠を保管すること。相手の根本的な違約、自身がすでに減損義務を果たしたこと、代替取引の必要性と合理性を証明する証拠を含む。例えば違約通知書、期限付き履行通知書、価格比較過程の書類、代替取引の契約と契約履行証明書など。

2、代替取引の内容が当初の取引と相当性/一致性があり、当初の範囲を超えないこと。範囲を超えている場合は、注文を分割することにより代替取引の部分をより明確にする等の手段が考えられる。

3、速やかに代替取引を行い、遅延は避けること。

4、自身の誠実さと善意を示すこと。特に関連取引に係わり、価格の変化が大きい場合は、より慎重に、理性的かつ善意の当事者の注意義務を果たす。