女性従業員が産暇から早く復帰する場合の注意点
財務担当者である寧さんは出産後1日目から仕事を再開し、1か月後に職場復帰を果たした。、寧さんは会社により支給された通常通りの賃金と出産手当を受領した。その後、会社は「職権を濫用し、産休中の賃金を不正に取得した」として、寧さんに賃金返還を請求した。しかし、労働仲裁委員会と裁判所はいずれも会社の請求を棄却した(詳細は(2023)京0111民初15574号判決書を参照)。
本件は産休中の女性従業員が早期職場復帰する際に賃金を如何に処理するかの問題についての典型的な事例である。
規定によると、法に基づき産後休暇を取得する間、女性従業員には社会保障基金から出産手当が支給され、出産手当と賃金に差が生じる場合、会社がその差額分(有れば)を補う必要がある。しかし、産休中の女性従業員が早期に職場復帰した場合、出産手当と賃金の両方を取得できるか否かについては、法律・法規では規定されておらず、ごく一部の省・市にのみ規定が存在する。例えば、浙江省の『労働争議事件の処理における若干問題に関する指導意見(試行)』第37条には、「女性従業員が早期に職場復帰する場合、出産手当と給料はいずれも取得することができる。」と規定している。司法実務において、明文化されていない省・市でも、両方とも取得することを認める地域がほとんどであるが(例えば(2023)京0111民初15574号事件、(2023)粤01民終29835号事件、(2024)渝0156民初3875号事件など)、一方で両方とも取得することは認めないとする地域もある(例えば洛陽(2025)豫0303民初514号、西安(2022)陜01民終12328号事件など)。両方の取得が認められなかった事件において、裁判所は「出産手当の支給前提は「出産による労働の一時停止」であり、早期職場復帰は女性従業員の自発的な権利放棄に該当する」ことが理由とされることが多い。そのため、企業が産休中の女性従業員が早期職場復帰する際、賃金を支給するか否か、またどのような基準で支給するかについては、企業所在地の司法規則、女性従業員の職場復帰後の労働時間や強度などを総合的に考慮した上で約定する必要がある。
早期職場復帰する際の女性従業員に対する業務の手配の仕方も企業が注目しなければ問題の一つである。第一に、国が女性従業員に対して特別な保護を与えているので、特殊な状況がなければ、企業は女性従業員に自発的に早期職場復帰を求めるべきではない。第二に、従業員が早期職場復帰を要求し、企業も同様にそれを望む場合、女性従業員の出産後の身体の回復や授乳の必要性などの観点から、完全に通常の労働時間に戻すのは現実的ではない。そのため、会社はフレックスタイム制を選択し、1日の労働時間の減少、労働日の減少、在宅勤務などの手段で仕事を手配すると良い。その上で、事後の紛争を避けるために、企業は総合的に考慮した上で、女性従業員と業務の手配、要求、相応の報酬について予め書面で約定しておくべきである。
最後に、産休中の女性従業員が早期職場復帰する場合、業績評価において特別な評価規則及び基準などを設定し、報酬の評定、ボーナス支給などにおける相応の規定を定める必要がある。