『会社登記の強制抹消制度の実施弁法』が2025年10月10より施行

実務上、様々な理由により営業許可証のはく奪、閉鎖命令、取消を受けたが、抹消されていない「ゾンビ会社」が数多くある。このため、『会社法』(2023改正)の第241条では強制抹消条項を設けているが、原則的なものである。2025年9月5日、国家市場監督管理総局は『会社登記の強制抹消制度の実施弁法』(以下『実施弁法』という)を公布し、強制抹消の具体的な実施要求、手続、関連書類などを規定した。

  1. 適用対象

『実施弁法』では、営業許可証のはく奪、閉鎖命令、または取消となった日から、3年以上登記機関に登記抹消を申請していない会社は強制的に抹消となることを定めている。この規定は『会社法』(2023改正)と一致している。

  1. 強制抹消の流れ

会社登記機関は国家企業信用情報公示システムを通じて90日間の公告を行う。公告期間内に異議申し立てがなければ、10稼働日以内に強制登記抹消決定書を作成し、法により会社の登記住所に送付する。但し、強制的に登記が抹消される予定の会社が、登記された住所や経営場所を通じて連絡が取れず、経営異常リストに登録された場合は、30日間の公告を通じて通知する必要がある。強制抹消手続は異議申し立てがない場合、最長4か月半かかる。

  1. 公告期間における異議の処理

関係部門、債権者及びその他の利害関係者が強制抹消の流れに異議がある場合、国家企業信用情報公示システム又は書面を通じて会社登記機関に理由とともに異議を申し立て、関連資料を提供することができる。会社登記機関は異議申立ての受理後7稼働日以内に形式審査を行う。審査の結果、異議が成立すると認められる場合は、強制抹消手続は終了となる。注意すべきことは、『実施弁法』では実質審査に対して時限を定めていないことだ。

強制抹消手続が終了された場合、会社は速やかに自ら清算し、抹消登記を申請しなければならない。強制抹消手続終了後、3年が経過したが、会社が依然として清算されておらず、抹消登録を申請していない場合は、強制抹消手続は再開となる。『実施弁法』では、関係者が再び異議を申し立てることができるかについて定めていないが、関連条項から判断すると、二次異議申し立ての機会はないと思われる。

  1. 強制抹消手続の完了による法的責任

まず、会社の名称は抹消後1年間新規登録会社に使用することができる。次に、強制抹消は元会社の株主と清算義務者が負うべき責任に影響を与えない。

  1. 登記の回復

強制抹消手続完了後3年以内に法定事由がある場合、関係部門、債権者及びその他の利害関係者は会社登記の回復を申請することができる。法定事由には、①会社が立件調査を受け、行政強制措置を受け、または過料などの行政処分を受け、執行が完了していない場合。②訴訟、行政複議、仲裁、調停、執行などの手続中の場合。③清算、破産手続中の場合。④登記回復が必要であるその他の状況が含まれる。また、国家利益と社会の公共利益を守るために、会社登記機関は職権によって会社登記を回復することができる。

会社登記が回復した後、その名称が既に第三者に登録されている場合、名称は回復することはできず、統一社会信用コードまたは登録番号のみが回復される。

公告期間中の異議による手続終了と同様に、会社登記の回復後3年以上の間、抹消登記を申請していない場合は、強制抹消手続が再開される。