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    労働者が使用者の手配により新たな使用者の元で勤務する場合、労働契約締結回数はどうカウントすべきか?

    賈さんと北京のA社との初めての労働契約が2016年2月16日に満了した後、A社の手配によって、賈さんはA社の完全子会社であるB社と3年間の労働契約を結んだ。労働契約存続期間中にB社の株主がA社から他社に変更された。労働契約期間満了前に、B社は賈さんに「労働契約終了通知書」を送付し、契約期間満了により契約は終了となり更新されないこと、経済補償金が支払われることを通知した。賈さんは「固定期間契約を2回締結したので、B社は無固定期間労働契約を締結すべきである」と考え、労働仲裁を提起し、「B社による労働契約の解除は違法である」と主張した。労働仲裁機関は賈さんの請求を棄却したが、一審裁判所と二審裁判所は賈さんの請求を認めた((2021)京03民終7906号)。

    元使用者の手配によって新たな使用者の元で勤務する場合、労働契約の回数をどのようにカウントするかという問題が本件の焦点である。

    『労働契約法』第14条では、固定期間労働契約を2回連続し締結した場合は、適用除外にあたる状況を除き、使用者は無固定期間労働契約を締結しなければならないことを定めている。『労働契約法実施条例』第10条では、労働者本人の都合によらない要因で元使用者の手配により新たな使用者の元で勤務する場合、経済補償金を支払う、または勤続年数を連続してカウントすることが定められているものの、労働契約の回数を連続してカウントするか否かについては明記されていない。そのため、この問題に対する全国一律の答えはない。

    各地の規定や司法実務規則からみても、地域差が大きい。

    浙江省では、現時点において、文頭のような状況では労働契約締結回数は連続してカウントされる。その根拠は2019年6月21日に公布された『労働紛争事件の審理における若干問題に関する浙江省高級人民法院民事裁判第一庭 浙江省労働人事紛争仲裁院の解答(五)』の第三条である。

    多くの地域では、明確な規定は存在しないが、司法実務において、文頭のような状況の場合、労働契約締結回数の連続カウントを認めないとする姿勢が示されることが比較的多い。例えば、上海市、広州市、江蘇省など。

    更に、一部の地方では、使用者に悪意がある場合、労働契約の結回数は連続してカウントされると定めている。例えば、『労働争議事件の審理に関する深セン市中級人民法院の裁判ガイドライン』(2015年)及び『北京市高級人民法院、北京市労働争議仲裁委員会の労働争議事件における法律適用問題検討会の会議紀要(二)』(2014年)は、使用者による悪質な『労働契約法』第14条違反は無効とし、勤続年数と労働契約締結の回数を連続してカウントすることを明確にしている。具体的な行為には、「関連企業の設立を通じて、労働者と契約を結ぶ際に使用者の名称を交互に使う」などが含まれている。

    注目すべき点は、個別の案件において北京裁判所が採用した観点は、浙江省の規則に似ている点である。例えば、文頭事案の判決書において裁判所は「関連会社間で労働者の労働契約締結主体を変更する場合、その主観的故意の有無は、労働者との労働契約連続締結回数のカウントに影響を与えるべきではない」と明確に述べた。

    以上のことから、様々な要因で従業員に他社との労働契約を締結させる場合、使用者は労働契約締結回数のカウントに十分に注意を払い、事前に所在地での相応規定や司法実務規則の有無を確認し、労働者と他社との契約締結を手配するか否か、労働契約期間をどのように設定するか、契約期間満了時に更新すべきか否かなどを判断するとよい。