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    『訴訟前調停における委託鑑定業務に関する最高人民法院の規程(試行)』が2023年8月1日に施行

    訴訟前の調停とは、『人民調停法』などの関連法律・法規に基づき、窓口である人民法院が、当事者双方が調停に同意したことを確認した場合、案件の調停を特別招請の人民調停員またはその他の調停組織に委任する形式を指す。訴訟前の調停は『民事訴訟法』に規定された法定裁判手続ではなく、双方当事者の自由意志に基づくものであるため、訴訟前の調停において、調停員及び調停組織は職権や一方的な申請によって鑑定依頼の要否を決定することができない。但し、交通事故、医療、製品責任などの紛争に係る場合は、鑑定を通じて責任者及び責任程度を確定する必要がある。類似事件の迅速な解決を有効に推進するために、最高人民法院は「訴訟前調停における委託鑑定業務に関する最高人民法院の規程(試行)」(以下『規程』という)を公布した。その主な内容は以下の通りである。

    1. 自由意志の原則

    『民事訴訟法』では、裁判手続において、裁判官は法律又は申請に基づいて鑑定を依頼することができ、双方の同意を得る必要がないことを定めている。『規程』第2条では、訴訟前の鑑定は双方の同意を得なければならないことを定めている。但し、『規程』第5条では、裁判所又は調停組織に協調の余白を与え、「裁判所またはその委任した調停組織は鑑定に適すると判断した場合、当事者に釈明し、訴訟前鑑定の申請期限を指定することができる」と定めている。本条の規定が実用的か否かについては、今後の状況によって判断される。

    1. 訴訟前の鑑定の範囲

    『規程』第3条では、訴訟前の鑑定の適用範囲を定めている:(1)自動車交通事故責任紛争;(2)医療損害責任紛争;(3)財産損害賠償紛争;(4)建設工事契約紛争;(5)労務契約紛争;(6)製品責任紛争;(7)売買契約紛争;(8)生命権、身体権、健康権紛争;(9)訴訟前の鑑定に適するその他の紛争。

    1. 訴訟前の鑑定の流れ

    『規程』第6条から第8条では一連の流れを定めている。具体的には、当事者は人民法院調停プラットフォームから訴訟前鑑定の申請書と関連鑑定書類をアップロードするà調停を主宰する者は、上述の書類を受け取ってから5稼働日以内に審査を行うà審査に不合格の場合は、相手に補正を要求するà審査に合格した場合は、人民法院に報告して人民法院の許可を得るà人民法院が許可した場合、書類を用いて人民法院の委託鑑定システムに入る。人民法院が許可しなかった場合、書類を当事者に返却して釈明し、記録を作成する。

    1. 訴訟前の調停が成立しない場合の鑑定報告書の処理

    『規程』第17条では、「訴訟前の調停を経ても調停合意が達成しなかった場合、鑑定書類(鑑定報告書を含む)と調停書類を一緒にオンラインで裁判所に送付し、裁判所が立件する」ことを定めている。第18条では、「当事者が正当な理由なく同一の事項について訴訟前の鑑定を繰り返し申請した場合、裁判所は許可しない。」ことを定めている。第19条では、「当事者が訴訟前の鑑定を悪意で利用して訴訟前の調停を遅らせる等、正常な訴訟秩序に影響を与える行為が発見された場合は、訴訟過程における当事者からの鑑定依頼の再度申請を審査する上で重要な参考とする」ことを定めている。従って、正当な理由がない場合には、訴訟前の鑑定に係る書類及び報告書は訴訟手続における証拠となる。当事者は訴訟前の鑑定を軽視せず、訴訟前の調停、かつ鑑定を選択し、または鑑定に同意した場合は、訴訟中と同様に鑑定の各事項において慎重に対応しなければならない。