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    キーワードに他人の商標を使用することは、商標権侵害に該当するか?

        「百度」(https://www.baidu.com)の検索欄において「金夫人」を入力して検索すると、先に目に入る3つのリンクは、「金夫人GOLDEN LADY及び図形」の商標権者であるJ社の公式ウェブサイトやJ社の関連新聞である。但し、続いて4番目から「南京結婚写真リーディングブランドM社」などのプロモーション情報がリンクされる。これについて、J社は、M社と百度会社が共同でJ社の商標権を侵害し、また虚偽の宣伝広告にも該当するという理由-で、裁判所に訴訟を起こした。
      
        本件のようなケースは珍しくない。ウェブサイトによりPRを行う企業は多くなってきている。一部の企業は大衆の注目を浴びるために、無断で有名ブランドをキーワードに利用しようとしている。
      
        他人の商標をキーワードに設定する「ただ乗り」行為は商標権侵害になるか?

        それを判断するにあたり、当該行為が「商標的使用」になるか否かがキーポイントである。『商標法』第48条には、「商標の使用とは、商品、商品の包装や容器、商品取引書類に商標を用いること、又は広告宣伝、展示及びその他の商業活動に商標を用いることにより、商品の出所を識別するための行為をいう」と規定している。例外があるものの(例えば、文頭の「金夫人」事件の第一審判決)、司法実務において、キーワードに他人の商標を使用する行為は商標的使用に該当しないという観点が圧倒的に多い。その理由としては、「商品やサービスの出所を識別するために商標を標識として公衆への展示に用いるか否かは、『商標法』でいう商標的使用に該当するか否かを判断するためのポイントとなるからである。」((2017)蘇民申2676号判決引用)。「金夫人」事件の第二審判決では、B社は検索エンジンで「金夫人」商標をキーワードに設定したものの、その公式ウェブサイトにおいて当該商標を標識として使用しておらず、かかる文字も掲載されていないため、ネットユーザーは自らの認識力で見分けることができる。……商標的使用に該当しない。」と指摘した。長沙中級人民法院は、(2019)湘01民初210号事件では、「キーワードによる検索において、「近衛軍」は単独で顕著に使用されていないため、商品の出所を識別するための役割を果たしておらず、『商標法』でいう商標的使用に該当しないため、商標権侵害にならない。」と認定した。  

        よって、他人の商標をキーワードに使用する「ただ乗り」行為は通常、商標権侵害にならない。但し、関連リンクの標題、ページ概要、特にリンクをクリックした後に開くウェブサイトで、他人の商標を標識として使用し、商品やサービスの出所を十分に識別でき、大衆の混淆・誤解を招きやすい場合は、通常商標権侵害と認定される。

        又、他人の商標をキーワードに設定する場合は、もう一つの大きなリスクがある。それは即ち、大多数の状況下で、不正競争と認定されることである。例えば、上記の「近衛軍」事件において、長沙中級人民法院は、「被告の行為は商標権侵害に該当しないが、ライバルとして「近衛軍」をキーワードとしてネットでの市場開拓を行うときに、商業上の権利侵害リスクを予測すべきであり、つまり被告の行為は原告のターゲット顧客の減少、原告の登録商標の顕著性の低下を引き起こす可能性がある……被告は相応の責任を負うべきである。」と認定した。又、(2016)浙01民終5964号判決では、「被告はキーワードの設定により、被告ウェブサイトの訪問回数を増やすだけでなく、顧客の後続選択にも影響を及ぼす可能性が高く、潜在的な取引チャンスを獲得し、間接又は直接的に商業利益を獲得し、原告の一部の合法的な利益を奪い取り、不正競争に該当する。」と認定した。

        以上のことから、実務において関連法的リスクを回避するために、企業は下記のポイントに心がけておく必要がある。

        第一に、ウェブサイトのキーワードを設定するときに、ライバルとしての合理的な注意義務を果たし、関連キーワードが同業他社によって商標として登録されているか否かを事前に確認すること。同業他社の登録商標と類似するものをキーワードに設定する場合は、商品やサービスの出所を識別し、消費者の混淆・誤解を招かないように、プロモーションや宣伝に係るリンクの標題、ページ概要、リンクをクリックした後に開くウェブサイト(=サイトのホームページ)において、同業他社の登録商標と同様又は類似する標識を使用しないよう勧める。

        第二に、自社の登録商標が同業他社によって商標として使用されていることが発覚した場合、自らの権利を守るために、関連証拠を収集して、状況に応じて工商機関に告発するか、裁判所に訴訟を提起するなど、適切な措置を講じることが大事である。