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  • ビジネスモデルの知的財産保護―営業秘密の保護を中心に

    ビジネスモデルの知的財産保護―営業秘密の保護を中心に

        2015年3月から9月までの半年間、国務院は『体制・メカニズムの改革深化 による革新駆動型発展戦略の実施加速に関する若干の意見』、『大衆創業・万衆創新の推進に力を入れる若干政策措置に関する意見』、『科技体制改革深化の実施方案』という三つの文書の中で、「ビジネスモデル等の新形態の革新的成果の知的財産に対する保護方法を検討する」と指摘した。

        ビジネスモデルについては、中国現行の法律規定において明確な定義がない。『特許審査操作規程/実質審査分冊』における定義によると、ビジネスモデルとは、各種のビジネス活動及び事務活動を実現させる手法である一方、人間の社会経済活動のルール及び仕組みに対する広義の解釈でもあり、証券、保険、賃借、競売、公告、サービス、経営管理、行政管理、事業計画などの営業活動又は事務活動を含む。ビジネスモデルは二つに分けられる。一つは単純なビジネスモデルであり、即ち完全に人間の行動により展開されるモデル、例えば、自分で返却口まで皿を下げた顧客に対し、サービスとして果物を1つ与えることにより、人件費を下げるなど。もう一つは技術にかかわるビジネスモデルであり、一般にコンピューターやインターネット技術などを利用し実施するモデルを指す。

        中国では、単純なビジネスモデルについて特許を出願することができない。技術にかかわるビジネスモデルについては特許を出願することが可能となっているが、法的にハードルが高く、実務的にも障害が多いなどの問題がある(ビジネスモデルの特許取得可能性については、次号に紹介する)。従って、営業秘密としてのビジネスモデルを保護することが可能か、又いかに法的保護を受けるのかは、ビジネスモデルの知的財産としての保護を求める上で重要な課題であろう。

        現行の営業秘密関連の法律法規に列挙されている営業秘密の種類にはビジネスモデルが含まれていない。『国務院国有資産監督管理委員会による〈中央企業営業秘密保護暫定規定〉の配布に関する通知》(国資発[2010]41号)のみにおいて、その第10条にて営業秘密保護範囲について、ビジネスモデルが明確に取り込まれている。

        実務において、どのようなビジネスモデルが、又はビジネスモデルのどの部分が営業秘密に該当するか、及びビジネスモデルにおける営業秘密情報をいかに保護するかは非常に重要な問題である。

        ビジネスモデル又はビジネスモデルにおける情報が営業秘密に該当するか否かは、関連情報が営業秘密の構成要件、即ち①公衆に知られていない、②経済的利益をもたらし、実用性を備える(即ち、競争優位性を有する)、③合理的な秘密保持措置を講じる、という三つの条件を満たすか否かにより判断されえる。
    ビジネスモデルの創始者が一定の手法によりそれを保護することは、通常、ビジネスモデルが現実的或いは潜在的な商業的価値を持つことが示されているため、競争優位性の有無は先に判断することではない。その代わりに、①公衆に知られていない、③合理的な秘密保持措置を講じる二つの要件を満たすか否かを先に判断したほうが良いと思われる。

        「公衆に知られていない」という要件を満たすか否かを判断する場合、特に注意すべきことは、『最高裁判所による不正競争民事案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈』第9条で規定されている状況、即ち、所属する経済領域の大衆の一般常識又は業界慣例に該当するか、又、他の手段により獲得することができるか(例えば、某金融商品の紹介パンフレットで開示された情報)などが存在するかどうかを確認することである。

        実際に、ビジネスモデルは使用において必然的に外部の不特定多数の人々と接触し、極端な場合には使用の全過程で接触する。これにより、全部又は一部のビジネスモデルは使用において必然的に大衆に知られ、言い換えれば、、ビジネスモデルについて大衆に知られないように有効な秘密保持措置を講じることが難しい。

        従って、ビジネスモデルを営業秘密として保護できるか否かについては、ビジネスモデルを幾つかのモジュールに分けて、それぞれが外部と接触しないか、接触する場合は、どこまで接触するかを判断する必要がある。もし各モジュールに含まれる情報のうち、一定の媒介により内部情報として保存し、かつ必要に応じて指定の内部対象者のみに伝達できれば、関連の情報は、営業秘密として保護・管理することができる。

        当然、ビジネスモデルの多様化は、それを営業秘密として保護する際に具体的な分割、設計技法の重要性及び難しさを決定させる。実際に、多くの場合には、ビジネスモデルを営業秘密として保護する目的は、個別事件が発生した場合に勝訴を図ることではなく、商戦においてその重要なコツが知られない期間を最長にすることにある。