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    領収書が先か、代金が先か?

        A社とB社は「売買契約」を締結し、A社がB社から設備を購入することを約定した。しかし、B社が設備を引き渡した後もA社は代金を支払わず、B社が何度も支払催促をしたにも関わらず支払いが行われなかったため、B社は1年後裁判所に訴えを提起し、A社に設備代金及び遅延利息を支払うよう請求した。これについて、A社は、契約には「領収書を受け取った後に代金を支払う」と明記されているため、B社が領収書を発行していない状況下で、A社が支払わなかったことは違約にならないことを主張した。最終的に、裁判所は、A社がB社の領収書発行後30日以内に設備代金を支払う判決を下した一方、B社の遅延利息請求を棄却した。 

        実務において、本件のように、領収書を先に発行するという契約上の約定を忘れてしまうことにより、違約金又は遅延利息の主張が認められないということは珍しくない。また、双方で領収書発行と代金支払のどちらを先に行うのかをあらかじめ約定していなかった場合は、さらに紛争が起こりやすくなる。

        『増値税専用領収書使用規定』などの関連法律法規では、代金支払と領収書発行の順序は明確にされていない。従って、双方がその順序をあらかじめ約定していない状況下では、「責任のなすりつけ合い」になる可能性が高い。例えば、買い手は領収書未受領で支払を拒否したり、または売り手側は領収書を先に発行した場合、買い手から代金を徴収できないければ税金負担の問題が出てくること等を恐れ、領収書を先に発行することを拒否したり、さらには、買い手が、その受領した領収書と契約の履行状況と結びつけて代金を支払ったことを主張したりするなど。そのため、双方は契約において領収書発行と代金支払の順序、引き渡し方法などを明確に約定しておく必要がある。

        当事者双方が契約において明確に約定するほか、本件におけるB社のような不祥事を避けるために、契約の履行過程において双方の履行状況を適時に把握すべきである。

        また、実務において、会社間の支払は通常銀行振り替えにより行われるため、証明することは容易であるが、領収書受領事実の有無について紛争を起こすことも多い(例えば、買い手が、領収書を受け取っていない、又は受け取った速達に領収書が含まれていなかったなどと主張する)。従って、売り手は領収書の引き渡しを慎重に取り扱い、意識的に証拠を保存すべきである。

        特に、領収書の発行後に代金を支払うことを約定した場合は、売り手は貨物を引き渡す際に、領収書を買い手に渡し、買い手にその場で署名するよう要求することが方法として考えられる。又、書留郵便又は速達郵便により領収書を配達する場合、「受け取った速達郵便には領収書が含まれていない」というような「責任のなすりつけ合い」問題を避けるために、配送伝票を用意する際に、付注において「領収書」及びその番号と枚数などの情報を明確にしておくことを勧める。また、もう一つ巧妙な方法としては、速達郵便で配達するとともにメールで相手方に、どの契約における領収書(枚数、番号を明記する)を速達郵便(速達会社、トラッキングナンバーも明記する)により送付し、受け取らなかった場合、関連担当者宛に連絡するようお願いすることである。そうすれば、仮に相手方が否認しても、上記の二つの証拠によって領収書を受け取ったことは裏付けられる。その場合、相手方が領収書を受け取っていなければ必然的に領収書未着の旨を伝えるはずなので、裁判官が認める可能性は高くなると思われる。