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  • 期間満了により労働契約を終了する場合、30日前に通知する必要はあるのか?

    期間満了により労働契約を終了する場合、30日前に通知する必要はあるのか?

    北京のある会社と田さんが締結した労働契約の期限は2021年10月8日までである。同社は2021年10月8日に田さんに対して労働契約更新の通知を行ったが、双方は労働契約更新について合意に至らなかった。田さんは労働仲裁を申し立て、会社が30日前に通知しなかったことによる賠償金を請求した。労働仲裁、一審、二審はいずれも田さんの請求を認めた((2023)京02民終7836号)。

    一般的な認識では、『労働契約法』第40条では、使用者は法に基づき一方的に労働契約を解除する場合、30日前に通知するか、または解雇予告手当を支払うことを明記されているのに対し、第44条では、労働契約の終了についての予告期間が明確に定められていないため、この判決を意外に思う人は少なくないだろう。しかし、本件において仲裁機関と裁判所は「的なくして矢を射る」というわけではなく、地方性規定を根拠としている。

    『北京市労働契約規定』(2021年改正、2001年に初回施行時に当該条項がある)第47条には、「使用者は本規定第40条に違反し、労働契約終了を30日前に労働者に通知しない場合、労働者の前月の平均賃金を基準とし、遅延1日ごとに労働者に対して1日分の賃金相当額を賠償金として支払う」と規定している。この規定により、本件において、北京の会社は最終的に1ヶ月分の賃金相当額を賠償金として支払うという判決を受けた。

    ほかの地方の実務規則はどうだろう?

    調べてみると、湖北省と江蘇省では、30日前に労働者に通知することが定められているが、予告しないことによる責任については明記されていないことが分かった。又、湖北省と江蘇省の裁判例を検索したところ、使用者が予告しなかったことにより賠償を命じられた判例は見つからなかった。

    一部の省・市では地方性規定によって状況が少し異なる。地方性規定では予告期間を明文化していないが、労働契約モデルでは30日前に通知することを約定している。例えば、浙江省の『労働契約管理の更なる強化に関する通知(2003)』の別紙の「労働契約モデル」にも同様の規定がある。しかし、このような省においても、使用者が予告しなかったことにより賠償を命じられた判例は見つからなかった。

    以上のことから、冒頭の北京の会社のような結果を招かないために、使用者は、所在地の地方性規定に、労働契約が期間満了により終了する場合の通知期限に係る要求があるかないかについて細心の注意を払わなければならない。一歩引いて、所在地にそのような関連規定がなくとも、コンプライアンス管理、リスク低減の観点から、特別な事情がない限り、30日前に通知したほうが良いだろう。そうすることで、更新が遅れることで無固定期限労働契約に直接入ることや、労働契約締結の遅れで2倍の賃金を支払うリスクを回避するとともに、仕事の引継ぎや未消化の有給休暇の消化などを適時指示することができる。