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    中国においてアニメキャラクターを如何に保護するか

    アニメキャラクターといえば、ワンピースのルフィ、クレヨンしんちゃん、シーヤンヤンとフイタイラン(中国の人気アニメ:メエメちゃんとオオカミくん)などの人気キャラクターが思い浮かぶでしょう。アニメ作品は人気が高まるとその分海賊版の標的になりやすいだけでなく(注権利保護については、著作権侵害の観点から考慮されるため、紙面の都合でここでは詳しく触れません。)、アニメ作品の構成要素(キャラクターの造形・名称、作品の名称、口癖、道具などを含む)も模倣される可能性も高くなる。例えば、ある企業が製造した子供服には「オオカミ君」のキャラクターの絵とその口癖である「必ず戻ってくる!」という文字が刺繍され、製品のラベルにも「メエメエちゃんとオオカミ君」シリーズと記載されている。

    このような場合、アニメキャラクターの権利者はどう対処すれば良いのだろうか?

    中国の現行法律法令では「商品化権」の概念を確立されていないので、一般的に、請求権の基礎として2つのパターンを考慮することができる。

    1つ目として、アニメ作品の構成要素、例えば、「クレヨンしんちゃん」のキャラクターが『著作権法』における「独創性」の要求を満たしている場合は、通常、著作権の観点から他人による無断使用行為に対して権利侵害の停止、損害賠償などを主張することができる。

    2つ目に、アニメキャラクターの名称、口癖、代表的な道具など作品の構成要素については『著作権法』における「独創性」の要求を満たさない場合が多いので、著作権による保護を受けるのが難しいが、商標登録の出願を優先して行うよう考慮する。

    もし構成要素が『商標法』における「登録禁止」の状況に該当せず、かつ商標を検索した結果、同一又は類似する先行商標が見つからない場合は、娯楽、文房具、玩具、服装、食品などに係る分野、商品・サービスについて商標登録を出願することができる。商標の登録が認められた場合は、商標権者は、他人が同一又は類似する商標の登録を出願することに対して異議申立て又は無効宣告を行うことができ、他人が同一又は類似する商標を使用することに対しての権利侵害も主張できる。

    但し、商標の検索の際に、他人がすでに商標登録を行っているケースも珍しくない。この場合の対策としては、アニメ作品権利者の先行権益が侵害されたことを理由に、当該登録商標に対して異議申立て又は無効宣告を行うことが考えられる。『商標の権利付与・権利確定に係る行政案件の審理における若干問題に関する最高人民法院の規定』第22条には、「……著作権保護期間内の作品について、作品の名称や作品に登場するキャラクターの名称などが高い知名度を有し、それを商標として関連商品に使用することは、権利者の使用許諾を取得済み或いは権利者と特定の関連性があるという大衆の誤認を招きやすいため、当事者が先行権益を構成すると主張する場合、人民法院はこれを認める。」と規定している。

    注意すべきことは、裁判文書から鑑みても、アニメ作品の名称、キャラクターの名以外、通常、その他の構成要素は、先行権益があると認定されにくい。又、このような案件において、裁判所は「知名度」と「混淆可能性」の2つの要素を重要視している。例えば、(2020)京行終1133号「機動戦姫」案件において、〇社は第9類のコンピュータゲームソフトウェア等複数の商品について「機動戦姫」商標を登録したが、「機動戦士ガンダム」アニメキャラクターの権利者は当該商標の無効を主張した。しかし、商標評価審査委員会は「機動戦士ガンダム」の権利者の主張を認めなかった。行政訴訟において、裁判所は、「…『機動戦士ガンダム』のアニメ作品と『機動戦士』のキャラクターの総称は、係争中の商標に承認された制作済みのコンピュータープログラム(プログラム)商品と、生産部門、機能用途、販売ルート、消費者グループなどによって大きく異なる。そのため、係争中の商標を上述の商品に使用しても、商品の出所に対する大衆の誤認を招かない。」とした。

    最後に、個別案件において、権利者は状況に応じて以下の2つの対策を講じることが望ましい。

    一つは、商標権利侵害と不正競争を同時に主張する。不正競争を主張する場合は、『不正競争防止法』第6条の「他人の商品である又は他人と特定の関連性があるという関連大衆の誤解を招く」、又は第2条の「信義誠実の原則に背き、市場の競争秩序を乱し、その他の事業者又は消費者の合法的な権益を損ねる」という規定を法的根拠とする。

    もう一つは、他人がアニメキャラクター又はその他の構成要素について意匠登録を出願し、認められた場合は、権利者は当該意匠登録の無効宣告を請求することができる。その理由としては、主に以下の二つがある。①当該意匠が新しい意匠ではないため、『特許法』第2条第4項に従い意匠無効と認定することを請求する。②当該意匠と先行権利が衝突するため、『特許法』第23条第3項に従い意匠無効と認定することを請求する。