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    マイカーを業務使用する際のリスク及び対策

    マイカーの業務使用は今やますます一般的になってきている。理由は様々で、コスト削減のために、会社から提案する場合もあれば、通勤と仕事の利便性を両立させるために従業員が自ら提案する場合もある。しかし、マイカーを業務使用する際のリスクに注意を払わなければ、事故が発生した際、会社が損失を被る可能性がある。

    下記でははマイカーを業務使用する際の主なリスク及び相応の対策という2つの角度からアドバイスをする。

    • リスク1:権利侵害

    マイカーを業務に使用している最中に事故が発生し、かつマイカー運転手が責任を負うべき状況の場合、『民法典』第1191条第1項の「使用者の従業員が業務上の任務を執行するために他人に損害を与えた場合」の条件に合致すれば、会社は相応の権利侵害責任を負う。例えば、(2017)蘇10民終2545号案件において、揚州市中級裁判所は、「Hが職務履行中に、マイカーでWに人身損害をもたらしたことは事実である可能性が高い」として、「会社が権利侵害責任を負う」と認定した。

     対策:会社はマイカーの業務使用についての規則を制定し、又は従業員と協議書を締結し、「従業員は交通ルールを遵守して安全に運転する義務がある。従業員がマイカーを業務に使用している際に規則違反に該当する運転操作によって、会社が権利侵害責任を負う場合、従業員は会社の損失に対して責任を負う」ことを明確に規定/約定しておく。

    • リスク2: 保険賠償

    マイカー保険の保険料が少額の場合、重大事故が発生した際、保険により損失をカバーすることができない可能性がある。また、一部の保険契約では賠償について厳しい要求が設定されている場合もある。マイカーの業務使用行為が保険契約の要求を満たさない場合は、保険金を請求できないというリスクがある。そのため、従業員が責任を負う意思がない、或いは責任能力がない場合は、会社が巻き込こまれてしまう可能性がある。

     対策:会社は保険価額の下限を定める(保険価額の下限額及び会社の経営状況に基づき、必要に応じて保険料の一部を適切に負担してもよい)。又、会社はマイカーの使用要求を規範化し、関係従業員に加入する保険の条件を遵守させる。例えば、運転手を限定するか否かなど。

    • リスク3:業務使用と個人使用のコストの混同

    マイカーには業務使用と個人使用の2つの用途がある。業務使用分の会社が負担すべきコストと個人使用分のコストは如何に区別すればよいのか。(2020)滬01民終5560号案件において、会社は「従業員の外出申請記録とそこに記載された車両走行距離手当記録が一致しない箇所が多い」ことを理由に従業員を解雇した。裁判所は、「従業員は記録の不一致について合理的な説明をすることができる。マイカーの業務使用に関する会社規定が存在せず、会社は領収書を全て審査した上で、走行距離手当を実費精算している」として、会社を違法解雇と認定した。

     対策:会社は規則制度や関連協議書において、業務使用に係るコストと個人使用に係るコストの区分基準を明確にしておく。例えば、走行距離、用途、使用時間などを事前に登記することで、多方面からマイカーの業務使用を確定する。その上で、走行距離に応じて手当の基準を確定する。区別することが難しい、又は管理に時間を費やしたくない場合は、月額固定料金を定め、コストの限度額を明確にすることもできる。