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    「重大な損害」=「重大な経済損失」?

    Zはある会社の主管会計係として、実費精算の初歩審査、後続の伝票整理・装丁・審査を含む採算管理を主に担当していた。Zは業務遂行中、LとHにより偽造された伝票が規定に合致しているか、帳簿と一致しているかを適時検査しておらず、自分の署名が偽造され伝票に使用されていることにさえも気づいていなかった。その結果、LとHは伝票を偽造し、虚偽記載のある燃油伝票を申告し会社から64万元以上の横領に成功した。会社は、Zの重大な職務怠慢により会社が重大な損害を受けたとして、Zを解雇した。Zは、「横領された代金は事件発生後に回収されており、会社は実際に損失を被っていない」と主張し、労働契約の違法解除を理由に労働仲裁を提起した。本件は第1審、第2審を受けた上で、山東省高級人民法院からの「Zの再審理請求を棄却する」旨の裁定をもって終わりを告げた((2018)鲁民申3526号)。

    なぜ会社の解雇処分は法院により認められたか?

    『労働契約法』第39条第2項の規定によると、労働者が著しい職務怠慢、不正利得行為により使用者に重大な損害を与えた場合、使用者は労働契約を解除することができる。「重大な損害」について、『〈中華人民共和国労働法〉の貫徹執行における若干問題に関する意見』(労部発[1995]309号)第87条では、以下の規定がある。「……「重大な損害」は企業の内部規則によって決定される。企業の種類によって、重大な損害に対する認定も大きく異なり、統一的な解釈を行うことは容易ではない。このことにより労働紛争が起こった場合、労働争議仲裁委員会により、内部規則で定められる重大な損害を認定する。」 従って、「重大な損害」については、企業が自ら定めることができる。企業は内部規則において、特定金額の「経済損失」に限らず、会社の信用、イメージなど「その他の損害」を「重大な損害」に含めることができる。

    司法実務において、仮に企業の内部規則に関連規定がないとしても、司法機関は損害の種類、結果、応対によるコスト、企業が被る恐れのあるマイナスの影響などに基づき認定する。以下に「重大な損害」となる典型的な例を挙げる。

    1、商業信用に対する重大な損害。(2021)粤01民終9092号案件において、広州市中級人民法院は、「……当該材料は不動産の据え付け設備であり、長期的に使用されるため、徹底した品質管理が求められ、人身の安全にも係わる。仮に直接の経済損失が生じていないとしても、兆○不動産会社の商業信用問題に重大な損害をもたらす。……」と指摘した。

    2、企業の正常な運営に対する重大な損害。冒頭の案件において、山東省高級人民法院は、「事件発生後に、横領された代金が回収されたが、上述の横領行為は客観的に発生しており、会社の経営管理に対して重大な影響を与えた。」と指摘した。

    3、使用者の損害への対応コスト。(2020)滬02民終5876号案件において、上海市第二中級人民法院は、以下のことを指摘した。「……S氏は仕事において検査・清算を怠り、引き落とし通知を受領後、関連メーカーの帳簿でマイナスが出ていることを知っていながら支払いを行った。当該職務怠慢行為は職責に係る規定に違反する。新○百貨公司は法律手段を通じて未払金の支払を催促することができるが、そのための訴訟コストが発生することは避けられない。」

    4、秘密保持義務違反も状況によっては「重大な損害」と認められる。(2021)浙02民終2836号案件において、寧波市中級人民法院は、「……従業員手帳には秘密保持事項の具体的な範囲が約定されていた。控訴理由においてのメールに関するJ氏の解釈は、特○科公司の高級管理職としてなぜプライベートのメールアドレスを使って仕入先に代理協議書の関連メールを送ったかという実質的で最も根本的な問題を避けているため、詳細についてのみに対する解釈は認められない。」と指摘した。