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    違約金の金額が高すぎる場合はどうなるのか?

    ビジネス活動において、義務者の行為を有効に拘束すると同時に、義務者が違約した場合、権利者が最大限の救済を受けるために、契約時に当事者が高額な違約金を約定することが多い。例えば、A社とB社は『オーディオ・ビデオ番組独占購入協議書』において、「作品が約定通りのチャンネル・時間帯に放送されない場合、B社は協議書を解除する権利があり、A社は協議書総額の30%、即ち1080万元を違約金として支払う。」ことを約定した。

    双方の自由意思である限り、どれだけ高額な違約金を約定しても、認められるのだろうか?

    『民法典』第585条には、「当事者は、一方が違約した際に違約状況に基づき相手方に対し一定金額の違約金を支払うべき旨を約定することができ、違約による損害賠償額の計算方法も合わせて約定することもできる。…約定された違約金が損害を過度に上回っている場合、人民法院又は仲裁機関は当事者の請求に応じて適当な減額を行う。…」と規定している。当該規定からみて、以下の2つの条件を同時に満たす場合、違約金は減額される可能性がある。①約定された違約金が損害を過度に上回っている。②当事者が司法機関に対して「違約金が高すぎる」ことを主張する。

    では、「約定された違約金が損害を過度に上回っている」ことを如何に判断するか?

    『<中華人民共和国契約法>の適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈(二)』(既に失効)第29条では、「当事者間で約定された違約金が損失の30%を超えている場合は、通常、過度に損失を上回ると認定することができる。」と規定している。『民法典の貫徹実施に関する全国裁判所の会議紀要』(法〔2021〕94号)第11条には、同主旨の規定もある。従って、実務において、多くの当事者は違約金を契約金額の30%に設定する。

    但し、多くの場合、このような約定は認められない。

    『民法典契約編—理解と適用』によると、違約金が高すぎるか否かを認定するとき、契約の履行状況に基づき、実損を明らかにし、基本標準を確定し、当事者過失の程度、予想利益、当事者が商事主体であるか否か、当事者間の交渉能力が平等であるか否か、定型約款を適用するか否かなど様々な要素を総合的に考慮し、公平と信義誠実の原則を遵守すべきである。又、新型コロナのような特殊な状況において、裁判所は新型コロナウィルスの蔓延による契約履行への影響も判断要素の一つとする(例えば、(2021)滬0114民初11430号判決)。

    当事者にとって、上述の説明は抽象的で理解しにくいかもしれない。そこで(2021)滬73民終632号判決を例に、具体的な事案において裁判所が如何に対処するのかを説明する。当該事案において、上海知的財産権裁判所は、1080万元の違約金が高すぎると認定し、情状酌量した上で違約金を360万元に減額した。その理由について、裁判所は、「本件において、具体的な違約金額を計算する際、以下の事実を考慮すべきである」と述べた。①被告側は、違約金が高すぎることを立証できず、原告側は、相手方の違約による実損又は予想利益の損失を立証できない。②当事者双方は『補充協議書1』において元協議書における使用許諾料を3,600万元に変更したが、支払期限、毎回の支払割合、支払条件は依然として元協議書に準ずる。又、元協議書12.1条の約定によると、いずれかの一方当事者が本協議書に約定される義務に違反した場合は、違約と見做される。明確な約定がある場合を除き、違約者は相手方に違約金を支払い、違約金は許諾使用料の合計金額の10%とする。③原告は、被告の悪意による違約を証明できず、原告自身にも違約行為がある。

    なお、金銭給付義務を負う当事者が違約した場合、一部の裁判所はLPR(全国銀行間資金調達センターが公布するローンプライムレート)を参考基準とし、事案の事実に基づき、違約金が高すぎるか否か、どの程度調整するかを判断する。特殊な状況として、当事者が正当な理由なく、長期にわたって契約約定に従わず、支払を拒否したことにより高額な違約金が発生、その後当該高額な違約金の支払について明らかに承諾した場合、最高裁判所は(2018)最高法民再303号事件において、「裁判所は情状を酌量して違約金を減額しない。さもなければ、公平と信義誠実の原則に背く。」と指摘した。