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    コロナウイルス感染防止に関連の会社規定に違反した従業員を解雇できる?

    第100期の『法律記事スクラップ』では、防疫のために従業員の春節帰省を禁止できるかについて検討した。その時の結論は、地方政府が区域封鎖管理などの防疫措置を講じていない場合、企業は従業員の帰省を強制的に禁止することはできないが、休暇管理及び宣伝教育など柔軟な管理手段を通じて、従業員の決定に影響を与えることができるというものだった。

    しかし、従業員が私用で他の地域を訪れ、コロナの流行に巻き込まれたら、少なくとも数日間の自宅隔離や1週間以上集中隔離を命じられ、さらにその同僚らも濃厚接触者又は副次的な濃厚接触者となり、同時隔離を命じられることとなる可能性もある。3年間にも亘りコロナの影響を受け、厳しい状況にある企業にとっては、間違いなく泣きっ面に蜂となる。コロナ禍において関連リスクを低減させるため、多くの企業が、法令に違反しない、確実で効果的な規定の制定を模索している。

    まずは、一つの面白い判例を見てみよう。

    2020年3月20日、孫さんはスーツケースを持って出勤し、上司に「三亜へ旅行に行く」と伝えた。「この時期に他地域へ行くことは(移動することは)自粛するべきだ」という上司の忠告を受け、孫さんは「周辺のドライブ旅行に変更する」と返事した。同日午後、会社は社内チャットで、従業員全員に対して「疫病予防コントロール期間中に上海を離れるには届出を行う必要がある。出国禁止、特殊な事由で出国する必要がある場合は許可を取得しなければならない。上記の規定に違反した場合一律に契約を解除する。」と通知した。その後、会社は孫さんが結局三亜に行っていたことを発見し、一方的に労働契約を解除した。そして、孫さんは仲裁を申し立てた。労働仲裁委員会、裁判所は共に、会社による解雇の正当性を認めた(詳細は(2020)滬0110民初12076号を参照)。

    類似の裁判例は珍しくない。企業が防疫規定を制定すること自体は違法ではないのの、防疫規定の制定・実施においては下記の2つの点に注意を払うべきである。

    まずは、企業の防疫規定は「全て同一扱い」にしてはいけない。届出規則の設定方法に重点を置くべきである。企業は従業員の生活とその自由を干渉する権利はないが、疫病予防・コントロール及び企業の経営管理の観点から、適時措置を講じるため、従業員に対して、「都市間を移動する場合は、事前に報告する」こと等を要求することができる。そして従業員のスケジュールを把握し、疫病の拡散を防止する。例えば、他市への移動について届け出を行った従業員が、目的地到着後にそこが「中高リスクエリア」になった場合に、企業は当該状況を事前に把握することができるため、直ちに従業員に対して自宅隔離を行わせることができる。こうすることで、後日「中高リスクエリア」滞在履歴が判明した際に被る同僚への影響を避けることができる。又、届出規則がある場合に、従業員の届出により、目的地が高リスクエリアに該当することを発見した際は、状況に応じて上司、人事部門が従業員に都市間移動計画の放棄や調整を勧めることができる。

    次に、私用による都市間移動に対しては自ら責任を負わせること。一部の企業は、「従業員が私用で都市間の移動を申請した後、疫病が発生し、従業員が隔離命令を受け出勤できない場合、企業はリモートワークを手配する権利がある。リモートワークの必要がない、又はそれを手配できない場合、企業は私用休暇として取り扱い、その期間の給料を支払う必要がない。」ことを定めている。上述の規定は一定の合理性がある。従業員は私用による都市間移動に対して選択権があり、「動的ゼロコロナ」政策下で、隔離となる可能性も予想できるはずであるため、企業に従業員の自主的な選択に対して責任を負わせるべきではない。「当地に留まっても疫病が発生する。なぜ都市間移動を差別化をするのか」と反論する人もいるかもしれない。しかし、答えは簡単である。当地に留まっている場合は、疫病により隔離命令は従業員の自主的な選択によるものではないからである。

    最後に、企業が防疫規定を制定する根本的な目的は、従業員が規則を遵守するよう導き、これによってウィンウィンの関係を実現することである。従って、規定実施後、宣伝教育を主とし、個別処分は副次的なものにすることを提案する。