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    従業員を出向させる時の注意事項

    李さんと印刷インキ会社A社は労働契約を締結し、月給を5万元と約定していた。A社はある原因のため生産を一時的に停止し、李さんを関連会社のB社に出向させた。出向期間中、関連会社は李さんに対して月給3万元の賃金を支払っていた。4か月後、李さんはA社が賃金を全額支払っていないことを理由に労働契約を解除し、未払い賃金および経済補償金の支払を請求した。労働仲裁委員会、第一審裁判所、第二審裁判所はいずれも李さんの請求を認めた。

    本件において、李さん、A社、B社は「出向関係」にある。出向は特殊な雇用形態であり、通常、関連会社間で発生する。例えば、グループ会社の副総経理を総経理として子会社に出向ささせる等。

    「出向」については、『労働法』にも『労働契約法』にも明確な規定がない。『<労働法>の徹底執行の若干問題に関する意見』と『労働災害保険条例』では、出向における社会保険料の納付および労働災害責任の負担について定めている。前者の第74条によると、出向者の「社会保険料は依然として出向元の使用者および出向者本人が納付する。また社会保険料の納付期間は納付年限に計上される」。後者の第43条によると、「従業員が出向期間中に労働災害事故に遭った場合は、出向元の使用者が労働災害保険責任を負うものとするが、係る費用の補償については出向元使用者と出向先企業で約定することができる」。なお、『<労働法>の徹底執行の若干問題に関する意見』第7条では、「使用者者は協議の上、労働契約書の関連条項を変更することができる。」という方法が示されている。

    このように現行規定が非常に限定的であるため、当事者間に明確な規定がない、或いは不明確な場合、今後、仕事内容、労働报酬、福利待遇、経済補償金などについて紛争が発生しやすくなる。

    実務において、人事部署は主に以下の2点から出向の手配や約定を考慮すること。

    第一に労働関係の角度から、出向契約、勤務場所、役職などの変更について、従業員と面談し、従業員に書面で同意を得る必要がある。それを元に、労働契約補充協議書を締結することで、労働契約において変更すべき事項(勤務場所や職務や福利厚生など)を明確に約定する。

    第二に従業員、出向元、出向先の三方当事者間に協議書を締結する。協議書において勤務時間、条件、内容、賃金待遇、職業危害、労働契約解除による補償、労働災害および相応の責任主体(例えば、出向先)などを明確にする。注意すべきことは、約定される出向期間が労働契約期間を超えないようすることである。さもなければ、出向先は労働者と事実上の労働関係を構築していると認定されるリスクが発生する。

    最後に、出向先の賃金不払いや閉鎖などの問題により出向元に与え得る影響やリスクを低減するために、出向元は出向先の運営状況および財務情報など(特に非関連会社の場合)を把握しておくとともに、出向先による出向過程にも注意を払うべきである。出向先が規定に違反し出向者の権益を損なう恐れがあることが発見された場合には、必要に応じて適時に介入、阻止、是正する。