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    喫煙を理由に解雇できるか?

    タイトルを見ておそらく2つの意見が出てくるだろう。ヘビースモーカーは、喫煙を理由に解雇するとは酷すぎる、些細なことを大げさしていると否定的な意見を持つ。一方、受動喫煙の被害者は、喫煙を理由に解雇することは、喫煙が解雇理由にならないという認識を改めることができると肯定的な意見を持つ。

    答えはどうだろうか。以下では、状況に分けて検討しよう。

    一つ目は、企業の規則制度には、「喫煙エリア以外で喫煙する従業員に対して、企業は解雇処分を行うことができる。」旨の規定がある状況の場合だ。過去には、一部の判決では、喫煙行為が深刻な損害又は負の影響をもたらしていないので、関連規定の合理性が否定された(例えば、(2015)滬一中民三(民)終字第441号)。『公共場所衛生管理条例実施細則』など公共場所禁煙に関する行政規則及び地方法規(例えば、『上海市公共場所喫煙を控える条例』)の公布により、司法機関の態度は明らかに変わり、大部分の裁判所が解雇の正当性を認めるようになってきた。

    しかし、実務において、以下の2点に注意を払う必要がある。

    (1)規則制度における具体的な喫煙罰則規定について。(2018)京02民終2801号事件において、使用者の就業規則には、「下記のいずれかの状況に該当する場合は、企業は労働契約を直接解除できる。……勤務エリア及び禁煙エリアにて喫煙又は火付けをし、これによって企業に損害をもたらした場合。」と定めていた。しかし、企業は損害を証明できなかったため、違法解雇と認定された。

    (2)特別な消防要求がない企業(例えば、商社)又はエリア(製造又は倉庫以外の一般勤務エリア)の場合は、喫煙を理由に解雇すると、裁判所に認められない可能性が高い。書面警告ぐらいの処分を行うことが、妥当ではないかと思われる。

    もう一つは、企業の規則制度に喫煙に係る規定がない状況の場合だ。このような場合、仮に喫煙エリア外の場所で喫煙し、使用者に一定の不利益な結果をもたらした、或いは使用者が『消防法』などの要求に応じて、製造エリア、倉庫エリアで禁煙エリア(火花禁止エリア)を指定しているものの、従業員が当該禁煙エリアで喫煙した等の場合は、企業は就業規則における罰則の包括的条項に従い解雇処分を行えば、裁判所がこれを認める可能性は高い。

    最後に少し興味深い問題がある。電子タバコの喫煙が処分の対象になるか否かということだ。実務において、一部の裁判所は肯定的な態度を示している。例えば、(2019)京0108民初45869号事件において、裁判所は、「電子タバコであっても普通のタバコであっても、いずれも喫煙を控える条例の立法主旨・目的に背く。」と指摘した。電子タバコは火花が発生しないが、喫煙に伴い高温となり、周りに含まれる酸素の割合が高い場合は、火災を起こすリスクがある。従って、意見の食い違いがあるにも係わらず、喫煙を控える立法主旨・目的、火災予防上の危険性からみて、電子タバコの喫煙も処分の対象になると思われる。