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    販売代理店が偽物を販売した場合は、メーカーが責任を負うか?

    ネットショップ「飛〇スポーツ専売店」は有名ブランドであるHラケットの販売代理店である。その専売店は、低価格で偽物ラケットを購入し、本物に混入して販売した。Hラケットはそれに気づいた後、飛〇スポーツ専売店の販売代理権を取り消した。一部の消費者は、「Hラケットの正規代理店であるからこそ、商品を購入した。Hラケットが代理店の偽物販売行為について責任を負うべきだ。」と指摘した。

    では、仮にメーカー側も被告とした場合、メーカー側に責任を負わせることはできるのか?

    『民法典』、『製品品質法』、『消費者権益保護法』の規定によると、原則としてメーカーに責任を負わせる前提条件は、メーカーの製品に品質問題があることである。文頭の事案において、飛〇スポーツ専売店が販売したラケットはH ラケットが製造したものではないので、H ラケットに責任を負わせる法的根拠はない。又、契約の相対性原則から、代理店と顧客との売買契約において、メーカーは当事者ではないので、責任を負うという契約上の根拠もない。よって、司法実務において、顧客がメーカーの責任を主張としても裁判所は大抵の場合、認めない。但し、侵害製品が長期に亘り、大規模的に代理店で販売されていた場合においては、個別裁判所が、メーカーが監督管理責任をおろそかにし、偽物の販売を放任したと判断し、メーカー側に責任を負わせる可能性がある。

    もう一つの疑問として、販売代理店が製品を改造して販売し、顧客が当該改造後の製品を購入した後、メーカーを同時に訴えた場合は、メーカーは責任を負うべきか?

    (2016)閩08民終867号案件において、東風〇社の販売・特約アフターサービス代理店である匯〇社は、東風〇社から自動車を購入した後、東風〇社製以外の部品を別途組み立て、車種表示を無断で変更し、二次代理店の鴻〇社に販売させた。張さんは改造車を購入した後、数回故障が発生し、修理後もなお問題を解決できないため、鴻〇社、匯〇社、東風〇社をまとめて被告として訴え、損害賠償を請求した。東風〇社は、メーカーであるに過ぎないため、適格被告ではないことを主張した。それに対して、裁判所は、東風〇社は契約相手方ではないが、案件に係る自動車のメーカーであり、責任の所在が明らかにされていないため、適格被告に該当すると指摘した。結局、東風〇社に連帯責任を負わせるという張さんの主張について、裁判所は、審理を経て、東風〇社は国家基準に合致する自動車を生産して匯〇社に販売しただけで、過失はないため、責任を負う必要はないと認定した。従って、偽物ではなく、改造品である場合に、メーカーが責任を負うか否かは、主に販売代理店に提供した製品が合格品であるか否かによって決まる。

    ひいては、販売代理店の広告宣伝が違法である、もしくは他人の権利を侵害する場合は、メーカーは責任を負う必要があるのか?

    (2020)鄂05行終106号行政訴訟事件において、販売代理店は展示即売会における違法広告により行政処分を受けた後、行政訴訟において授権側であるメーカーが違法広告の主体であることを主張した。裁判所は、「授権側は展示即売活動に対して管理支配権も持たず、販売による利益も得ていない。」ことを理由に、「違法広告の主体は販売代理店のみである」という判決を下した。

    又、(2019)粤06民終5818号案件において、格力会社の販売代理店がTモールで「美的熊」という著作物を使用して宣伝・販促を行っていた。美的会社は当該販売代理店の宣伝・販促による利益帰属や格力会社が当該販売代理店の商標・商号を使用する営業活動に対する監督管理・注意義務を有すべきことなどから、格力会社が販売代理店と共同で権利侵害責任を負うべきであることを主張した。最終的に、佛山中級裁判所は、「既存証拠は、販売代理店が格力会社の製品を販売していることを証明できるが、格力会社が当該販売代理店に対して指導管理を行ったか又は当該販売代理店の売上高から利益を獲得したことを証明できず、格力会社と当該販売代理店は互いに独立した市場主体である。」と認定し、美的会社の主張を認めなかった。

    以上のことから、リスク防止のために、メーカーにとって、以下の措置を取ることが考えられる。(1)メーカーと販売代理店が関連会社であるという消費者の誤解を招くことや販売代理店が偽物を販売することにより本物のブランドに不利な影響を及ぼすことを避けるために、販売代理店がブランド名をその商号として登記することを禁止する。(2)販売代理店との契約において、販売代理店の偽物販売、違法宣伝などに係る違約責任及び懲罰的措置を約定し、起こりうる不正行為を抑制する。(3)販売代理店管理制度を整備する。具体的には、部門/人員を指定して、偽物の製造・販売の有無の監督管理、係る情報・証拠の収集、不定期的な抜取検査・訪問などを行わせる。販売代理店の偽物販売又はその他の違法行為を発見した場合、直ちに販売代理権を取り消し、関連部門と協力して製品の鑑定、取調べ、捜査などを進める等。