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    「規則制度に著しく違反する」とは、どの程度?

    『労働契約法』第39条には、「労働者が規則制度に著しく違反した場合、使用者は一方的に労働契約を解除することができる。」と規定している。規則制度では、「著しく違反した」に該当する行為を定められているが、従業員がそれらの行為を行った場合は、使用者は一方的に解雇することができるのだろうか?

    実はそれほど簡単ではない。最高人民法院は『民事審判指導と参考』(2012年第一輯)において、「裁判所は、労働者が使用者の規則制度に著しく違反したことを認定するときに、労働者の紀律違反行為の主観的なミスの程度、その頻度、使用者にもたらした損失などの要素を考慮するものとし、単に規則制度における関連規定に従うのではなく、労働契約解除の根拠となる規則制度の制定手続、内容が現行の法令、政策、司法解釈、双方間の労働契約の約定に違反するか否かを総合的に考慮するべきである。」と指摘した。

    各地の裁判所の類似事件での判決からみて、以下のポイントにより「規則制度に著しく違反した」にあたる内容を把握することができる。

    1、企業の生産安全、管理秩序を害する恐れのある行為について、通常、裁判所はそれを「規則制度に著しく違反した」と認定する傾向がある。例えば、労働者が規定に反して外部の者を連れて配電室に入った[1]、会社の禁止規定に反し、在職中に他社の株主を兼職こと[2]、わざと挑発的な態度をとり、喧嘩をして殴り合った[3]、連続で無断欠勤した[4]、虚偽の病気休暇を申請した[5]、商業賄賂[6]等の行為を行った場合、使用者は「労働者が規則制度に著しく違反した」ことを理由に、一方的に労働契約を解除した場合、通常、裁判所に認められる。

    2、経済的損失を定量化することにより、規定を行い、かつ経済的損失を証明できる。規則制度では、「従業員が会社にもたらした損失が一定の金額に達した場合は、著しく違反したと認定できる」ことを定めるものとする。以下の2点に注意すべきである。①従業員の過失とミスによる損失額を区分する。ミスによる損失額が過失による損失額を下回る。②損失額が当地の経済レベルに合致する。例えば、北京、上海、広州では、「ミスによる損失額が5,000元を超える場合は、規則制度に著しく違反する」と定めている場合は、通常、裁判所に認められる。

    3、企業自身の所属業界、従業員の職場の特殊性を考慮する。食品、化学工業、自動車部品など、安全に係る特殊な規定が必要である業界は、安全に係る規定を厳格化することができる。医療器械など、廉潔に係る特殊な規定が必要である業界は、廉潔に係る規定を厳格化することができる。高速回転設備を操作する職場は、無断な職場離脱に係る規定を厳格化することができる。例えば、「職場での喫煙」を例に、使用者が燃えやすい化学品を生産する企業主である場合は、職場での喫煙により重大な危険を引き起こす可能性があるので、裁判所は、それを「規則制度に著しく違反する」と認定する傾向がある。但し、使用者が貿易会社である場合は、裁判所は逆の認定を下す可能性が高い。

    4、通常、居眠り、ゲーム、職場を離れて喫煙するなど、重大な結果に至らない行為について、頻度や主観的悪意により「規則制度に著しく違反する」に該当するか否かを判断する。上述の行為は実質的に勤勉義務違反に該当するが、使用者にもたらした損失を証明するのは難しい。裁判所は審理時に、使用者に厳しい立場に立つ。(2016)鄂01民終2147号案件について、裁判所は、「従業員はあごを引いて5分間居眠りしたが、会社に損失をもたらさなかったので、規則制度に著しく違反したと認定すべきではない。」と判断した。 (2018)云0112民初5482号案件について、裁判所は、「会社は、従業員がある日に「taobao」、その他の業務中の「bbs」にアクセスした証拠のみが提供されたが、従業員の行為が劣悪な影響をもたらした証拠はないので、規則制度に著しく違反したと認定すべきではない。(認定することはできない)」と判断した。上述の違反行為を頻繁に繰り返し、会社の管理秩序に悪影響を与えた場合にのみ、解雇の正当性は裁判所に認められる可能性がある。処分によるリスクを低減するために、使用者は上述の違反行為を発見した場合、教育を行い、関連証拠を残すことを優先すべきである。

    注釈:

    [1]  (2020)京民申772号

    [2]  (2019)蘇民申1105号

    [3]  (2018)渝民申2242号

    [4]  (2015)渝高法民申字第00583号

    [5]  (2017)京民再65号

    [6]  (2020)渝民申1161号