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    自社の商号と他社の商標が同一の場合はどうするか

    法律記事スクラップ第90号では、自社の商号が他人に商号登録された場合の対応を検討した。では、自社の商号と他社の商標が同一する場合はどうすれば良いだろうか?同一であること自体は問題にはならないが、同一である場合の是非を見分けられなければ手が焼ける。

    企業商号と登録商標が同一である場合の是非は2つの状況に分けて検討するべきである。

    状況1:先行登録商標

    『商標民事紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈』(法釈(2002)32号)第1条には、「他人の登録商標と同一又は類似する文字を企業名称とし、同一又は類似する商品において際立たせて使用し、関連大衆に誤認を生じさせる可能性がある場合は、登録商標専用権を侵害する行為に属する。」と規定している。『商標法』(2019年改正)第58条には、「他人の登録商標、未登録の著名商標を企業名称における商号として使用し、公衆に誤認させ、不正競争行為となるときは、「中華人民共和国反不正当競争法」に従って処理する」と規定している。

    従って、先行登録商標の場合に、商標権者は商標権侵害又は不正競争の立場に立って権利を守ることができる。案件の法律関係を確定するにあたって、北京市高級人民法院が公布した『商標と企業名称が同一する紛争案件の審理における若干問題に関する解答』 (京高法発〔2002〕357号)は参考となる。当該解答によると、権利侵害者の行為が性質上、、合法的な形式で他人の名誉を侵害し、これにより消費者が商品又はサービスの出所を誤解し、事業者との間に特定の関係があると誤認することからして、通常、不正競争紛争に該当しない……。他人の登録商標と同一又は類似する文字を企業名称とし、同一又は類似する商品において単独で又は顕著に使用し、関係公衆に誤認を生じさせる可能性がある場合は、他人の登録商標専用権を侵害する行為に該当する……。当然、案件によって、商標権侵害と不正競争を同時に主張することも考慮できる。

    訴訟理由によって、証明の対象となるポイントが異なる。商標権侵害を主張する場合は、「関連大衆に誤認を生じさせる可能性がある」ことを証明する必要があり、不正競争を主張する場合は、「公衆に誤認させる」ことを証明する必要がある。

    特に注意すべきことは、商標権者が訴えを起こす目的は、通常、相手に企業商号を変更させることにある。当該請求が認められるか否かについては、(2010)民提字第15号「王将餃子事件」において最高人民法院は以下の代表的な意見を述べた。「他者の高い知名度を持つ先行登録商標を商号として企業名称の登録を行う場合は、企業名称の登録使用自体が法律違反にする。顕著に使用するか否かを問わず、市場において混乱を引き起こすことを避けられない場合は、当事者の請求に応じて、企業名より登録商標の専用権を侵害するだけである場合は、被告に企業名称の使用を規範化し、顕著な使用をやめさせる判決を下すことは、被告の権利侵害行為を制止するには、十分であるため、企業名称の使用停止又は変更を命じるという判決は不適切である。責任負担の方式において、企業名称の使用の規範化と企業名称の使用停止又は変更は異なる。企業名称における商号の顕著な使用により商標専用権を侵害したことを理由に、一律に企業名称の使用停止又は変更を命じる判決を下すべきではない。」

    状況2: 先行企業商号

    『商標の権利付与・権利確定に係わる行政案件の審理における若干問題に関する最高人民法院の規定』(法釈〔2017〕2号)第21条には、「当事者が主張する商号が市場において一定の知名度を有しており、他人が許可を取得せずに当該名称と同一或いは類似する商標を登録出願し、商品出所に関して関連公衆の誤認を招きやすい場合、当事者がこれを理由に先行権益を主張する場合、人民法院はこれを認める。」と規定している。

    以上のことから、先行企業商号の場合に、権利者は先行権益を主張して商標無効宣告を申請することができる。証明すべきポイントは、商号が一定の知名度を有することである。(2015)民提字第38号「采蝶軒事件」を例に、最高人民法院は、「采蝶軒会社は2000年6月に設立され、係争中の登録商標の出願日は2002年12月31日である。出願日までに5つの店しか設立されておらず、2003年の売上高は7.58万だけであることからして、一定の影響力を有すると言えない。」と判断した。従って、采蝶軒会社は先行権益を事由に抗弁したが、失敗し、商標権侵害に該当すると認定された。