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    自社の商号が他人に商号登録された場合の対応について

    会社の知名度が高まるほど、ビジネスチャンスも多くなると同時に、模倣する者も多くなる。台湾南○プラスチック工業株式会社は大陸に「南○」と名付けた子会社を数社設立し、そのうち2000年8月に設立された「南○電子(昆山)有限公司」(以下「昆山南○社」という)が含まれている。上海南○覆銅箔板有限公司は2000年6月に設立され、2017年8月に南○新材料科技株式会社(以下「上海南○社」という)と社名を変更した。両社の事業の範囲が類似しているため、昆山南○社は不正競争を理由に上海南○社を訴え、商号の使用停止を請求した。しかし、裁判所は審理後、昆山南○社の請求を棄却した。

    実務において、商号が同一であるケースは珍しくない。その原因の一つは、企業の設立が増加していること、もう一つは、「ただ乗り」を目的として比較的知名度が高い企業の商号を勝手に登録したり、他社の名前に利用することが多いからである。

    『企業名称登記管理規定』第9条には、「企業名称は、公衆を欺く又は誤解させるおそれがある内容及び文字を含んではならない。」と規定している。又、『企業名称登記管理実施弁法』第41条には、「既に登記登録した企業名称が、その使用過程で公衆を欺き、又は公衆の誤解を招いた場合、他人の合法的な権利を侵害した場合は、不適切な企業名称と認定され、是正を命じなければならない。」と規定している。更に、『不正競争防止法』第6条には、「事業者は、公衆の誤解を招き、他人の商品であるか又は他人と特定な関係があるなど公衆に誤認させる行為を行ってはならない。(二)一定の影響力がある他人の企業名称(略称、商号などを含む)を勝手に使用する。……」と規定している。

    従って、有名な商号にタダ乗りする行為に対して、当事者は往々に行政通報又は民事訴訟を起こし、企業名称の変更を求める。

    但し、このような案件においては、2つの難点がある。①「一定の影響力」(即ち、知名度)を如何に証明するか。②公衆を欺く、又は公衆の誤解を招くこと(即ち、誤認・混淆を引き起こす可能性)を如何に認定するか。

    「知名度」を証明する場合は、以下のことに注意を払う必要があると思われる。

    第一に、証拠を収集するにあたり、『不正当競争民事案件の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈』第1条の規定を参考にし、案件に係る企業名称の登録日、事業が及ぶ地域範囲、販売業績、広告マーケティングの持続期間・程度・地域範囲、媒体による報道、受賞状況などに重点を置く。例えば、(2019) 滬73民終297号事件において、上海知的財産権裁判所は、案件に係る企業名称の使用日、地域範囲、業績、ブランドの知名度、影響力などに関する証拠を詳細に審査した上で、「原告の商号・登録商標である“冠○”は、被告設立時に既に一定の市場知名度があった。」と判断し、「ライバル関係である被告は、原告の商号・登録商標が比較的大きな影響力があることを知りながら、同一業種において当該商号を登記登録し、事業に使用し、故意に原告商号の影響力及び案件に係る登録商標の信用度に取り入り、公衆の誤解を招き、原告と被告を混同させ、原告と被告との特定な関係の存在を誤認させやすい……」と認定した。

    第二に、会社登記機関が所轄する地区を跨る(省を跨る)案件においては、「影響力」が被告所在地にまで及んだことを証明する必要があり、例えば、被告所在地に支社を設立している、又は長期的に当該地域での多くの取引先とやり取りを行っているなど。さもなければ、裁判所より認められない。

    第三に、注意すべきことは、原告の商号が同時に商標として登録されており、特に著名商標と認定された場合は、その判断するにあたり知名度が高いか低いかが、、比較的大きな影響力をもつことである。

    「誤認・混同の可能性」の認定は、知名度が高いか低いかの判断に左右される場合が多い。

    その理由は、知名度が高い場合、通常同業他社は知らないわけがない。その場合、合理的に忌避し、区別を付けるようにしなければ、公衆の誤認・混同を招きやすい。例えば、(2019)滬73民終322号「春秋」事件について、上海知的財産権裁判所は、「“春秋”の商号は一定の知名度がある」と認定した上で、「専門的な旅行サービスに従事する同業他社である被告は、原告の存在を知っていたはずでなので、慎重に自らの企業名称を使用し、原告の企業名称と区別を付け、合理的に忌避し、混同を避けるべきであるが、被告がその通りにしなかったため、その店が原告の店であるか、又は原告の店と特定の関係がある店であるという誤解を招きやすい」と指摘した。最終的に裁判所は「被告は企業名称を変更し、“春秋”の商号を含めてはならない。」判決を下した。

    一方で、被告にとって、通常持続期間、受賞状況、ブランドの知名度、係る業界における公衆の認識・区別可能性などにより、裁判所の認定が被告に有利な方向に導くことが考えられる。