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    外国人就業許可証を取得していても、労働契約関係が成立しないか?

    シンガポールのG社は、シンガポール籍の白さんをG社上海業務開発部部長として雇用することについて、白さんと契約を締結した。その後、白さんはG社の厦門現地法人の上海支社と労働契約を締結し、上海支社は申請し、白さんの外国人就業許可証を取得した。ある日、白さんと上海支社の間に紛争を起こり、裁判にまで至った結果、裁判所は、上海支店と白さんとの間に労働契約関係は成立していないと認定した。

    労働契約が締結済みで、外国人就業許可証も取得している状況で、なぜ裁判所は労働契約関係の存在を認めなかったのか?

    まずは、『外国人の中国における就業管理規定』及び出入国関連規定によると、外国人は外国人就業許可証及び居留許可証取得後、中国大陸にて就業することができる。『労働争議案件の審理における法律適用の若干問題に関する最高人民法院の解釈 (四)』第14条第1項には、「外国人、無国籍者が法に従い就業証書を取得せずに、中国国内の使用者と労働契約を締結し……、当事者が使用者との労働契約関係の存在確認を請求する場合は、人民法院は、それを認めない。」と規定している。従って、外国人が就業許可証を取得していない場合は、中国大陸の使用者との労働契約関係は認められない。但し、文頭の白さんは当該状況に該当しない。

    次に、実際の使用者と就業許可証に記載されている使用者が一致しない場合は、労働契約関係は否定される。『外国人の中国における就業管理規定』第23条の規定によると、外国人を雇用して中国に就業させる使用者は、当該外国人の就業証に明記された使用者と同一でなければならない。例えば、A社が外国人のために就業許可証手続を行い、当該外国人が就業許可証を取得した後、B社に労務を提供する場合は、当該外国人とA社又はB社いずれの労働契約関係も認められない(例えば、(2016)京02民終4097号事件)。又、就業許可証の有効期間が満了した場合、仮に労働契約期間が満了していないとしても、双方の労働契約関係は就業許可証期間満了日に終了する。但し、文頭の白さんは上記の状況にも該当しない。

    実際は、白さんと上海支店との関係の認定は、親会社からの出向者と中国内の関連会社との間に労働契約関係が成立するかという問題である。この問題について、司法実務における観点は統一されていない。一部の裁判所では、『外国人の中国における就業管理規定』に基づいて、就業許可証を取得している以上、中国大陸の関連会社と外国籍出向者との間に労働契約関係が存在すると判断し、『労働契約法』等の法令に従い相応の判決を下す。但し、数多くの裁判所は、外国籍出向者が親会社との労働関係を保持している場合、中国内の関連会社と二重労働契約関係を構築してはならないという観点から、実質的な判断する。その場合、裁判所は、外国籍労働者と中国大陸会社との労働契約関係が存在するか否かについて、通常、下記の要素を考慮する。①係る外国人は就業許可証に明記された使用者のために労務を提供していた事実があるか否か。②係る使用者の管理を受けていたか否か。③賃金は係る使用者から支払われているか否か。④係る外国人との労働契約が就業証書取得手続のみに用いられることについて、当事者間で明確な約定があったかどうか。文頭の事件において、上海第二中級人民法院は実質的な判断を行い、白さんと上海支店との間の労働契約関係の存在を否定した。

    従って、関連リスクを防ぐために、出向先としては、外国籍出向者に係る契約、管理、社会保険、賃金などを全面的に考慮した上で適切に取り扱うよう勧める。