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    中国で就業する外国人が社会保険料を納付しない場合、リスクはあるか?

        長期に渡り、法律上、明確な規定がなく、又海外の親会社から中国に派遣される外国人駐在員の社会保険料は、派遣元の海外親会社が海外で納付し続けるため、通常、商業保険以外、中国現地法人は往々に納付していない。 

        2011年7月1日より施行された『社会保険法』では、「外国人が中国国内で就業する場合、本法の規定を準用して社会保険に加入する。」と規定されている。又、『中国国内で就業する外国人の社会保険加入暫定弁法』(2011年10月15日より施行、以下『暫定弁法』という)第3条では、外国人が外資企業と労働契約を締結して中国国内で就業する場合、海外企業と労働契約締結後に駐在員として中国現地法人で就業させる場合、共に、外資企業は係る外国人のために社会保険料を納付すべきであることを明確にした。当時は、上記の規定は外資企業の関心を引き寄せた。

        しかし、『社会保険法』にいう「準用」という表現において、外国人のための社会保険料の納付は強制ではない、即ち、納付してもしなくてもよい、と誤解している人は圧倒的に多い。又、『暫定弁法』では、社会保険料の納付を強制しているが、『社会保険法』より位階が低いため、『社会保険法』の規定を打ち破るわけにはいけない。よって、実務において、各地の人力資源?社会保障機関によって法律執行の程度が異なる。大部分の地方では、外国籍労働者の社会保険加入について強制や干渉をせず、社会保険未加入について処分を行う先例も見られていない。従って、多くの外資企業はコスト面などを考慮し、外国籍労働者を社会保険に加入させる意欲はあまりないようである。

        但し、この現状は近い将来、変わる可能性がある。

        現時点で中国は十数カ国と社会保険加入手続相互免除の関連協定を締結しており、今後も外国籍労働者の社会保険加入について厳しく管理していく傾向がある。『我が国の国内で就業する外国人の社会保険加入作業関連事項を貫徹することに関する通知』(2011年10月15日より施行)では、「期限を切って追納し、毎日万分の五として滞納金を別途納付する」と規定しているが、今まで長期に亘って執行されていない。仮に各地人力資源?社会保障機関は使用者に対し、外国籍労働者のために社会保険に加入することを強制するときも、大きな影響を引き起こさないために、当該通知に従い過去に遡って社会保険料の追納及び滞納金の別途納付を要求する可能性は低いと思われる。しかし、そのことには、かかわらず、使用者は早めに外国籍労働者(特に現地採用者)の社会保険加入を議事日程に組み入れるよう勧める。特にもともと法律執行が比較的厳しい地方では、使用者は外国籍労働者の社会保険加入のことを早期確認?実施するはずである。

        外国籍労働者の社会保険加入による人件費の増加について、完全に回避できない問題である一方、使用者は、外国籍労働者の母国と中国の間で社会保険加入手続相互免除の関連協定が締結されているか否か、免除条件に合致するか否かなどに注意を払う必要がある。 

        例えば、日本との場合、中日両国で締結された『社会保障協定』は2019年9月1日より施行される。当該協定によると、日本の親会社から中国へ派遣される駐在員は、中国において最も割合が高い養老保険料の納付を免除されるものの、医療保険料、労働災害保険料などの納付は免除されない。