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    退職事由を退職証明書に記載できるか?

        A社は周さんを解雇し、「労働契約解除証明書」を発行した。「労働契約解除証明書」における解除事由は、任に堪えず、A社の規則制度に違反したと記載された。周さんは当該記載が自分の再就職に悪影響を及ぼすと判断し、労働仲裁を提起し、A社に関連記載を削除するよう請求したが、最終的に請求棄却判決を下された。

        退職証明書を発行する法的根拠は主に、『労働契約法実施条例』第24条であり、即ち、「使用者は、労働契約期限、労働契約終了・解除の期日、職位、当該企業における勤続年数を記載する労働契約終了・解除証明書を発行する」ことである。当該規定は退職証明書の必須記載事項については明確だが、それ以外の事項(例えば、退職事由)を記載できるか否かについては明確にされていない。『労働契約制度実行の若干問題に関する通知』(労部発[1996]354号)第15条には、「証明書では、労働契約期限、終了日又は解除日、職務を記載する。使用者は労働者の要求に応じて、証明書において労働契約解除の事由を客観的に説明することができる。」と規定している。当該規定は労働者に対し選択権を付与したに過ぎず、使用者が退職証明書に他の事項を記載することを禁止しているわけではない。使用者が退職証明書において退職事由、特に規則制度違反などと記載した場合、通常、労働者は労働紛争において、使用者に対し、マイナス評価の記載を削除した退職証明書を再発行するよう要求し、さらには名誉権侵害の訴えを提起する。

        実務において、使用者が退職証明書に退職事由を記載した場合、特に労働者に不利な内容を含む事件については、裁判所によって判決が異なる。

        主流的な観点は、退職証明書に退職事由を記載した場合は、労働者に不利な内容があるか否かを問わず、法律の強行規定違反には該当せず、法に従い、労働者の「退職証明書の再発行」請求を認めないというものである(例えば、(2016)蘇05民終2112号、(2014)芜中民一終字第00184号、(2014)三中民終字第08089号、(2018)湘01民終6931号等)。又、少数の観点としては、『労働契約法実施条例』第24条で退職証明書の具体的な内容が明確にされているので、使用者は労働関係解除の事由又は労働者の能力、品行等に係る内容を別途追加するべきではないというものもある(例えば、(2018)蘇01民終6614号等)。

        注意すべきことは、広州中級裁判所が類似の事件に対して異なる観点を採用していたことだ。例えば、(2017)粤01民終9269号和(2018)粤01民終10232号事件において、裁判所は、「退職証明書の内容は法律規定及び公序良俗に違反していない」と認定したが、(2017)粤01民終8669号事件において、裁判所は、『労働契約法実施条例』第24条では退職証明書の必須記載事項以外の事項が明確にされていないことを理由に、労働者の「退職証明書再発行」請求を認めた。

        以上のことから、退職証明書に退職事由の記載、特にマイナス評価を含む場合はどのような判断が下されるか不確実である。従って、リスクを低減するために、使用者は退職証明書を発行するときに、厳格に『労働契約法実施条例』第24条に従うようにすべきである。