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    債務移転、それとも併存的債務引受?

        A社はB社に対して200万の債務を負っており、C社はA社の肩代わりをするつもりで、B社と協議書を締結した。しかし、50万を返済した後、C社が残債務の返済を滞らせたため、B社はA社に継続履行を要求した。A社は、「200万の債務は既にC社に移転された」と抗弁し、B社の要求を拒否した。残債務は、一体誰が返済すべきなのだろうか?

        この質問に答えるためには、まず本件が債務移転に該当するか、それとも併存的債務引受に該当するかを、B社とC社間の協議書の内容から判断する必要がある。

        中国『契約法』の関連規定によると、債務移転は下記の2種に分けられる。

        一つは、返済代行である。その法的根拠は、『契約法』第65条であり、即ち、「当事者間の約定で、第三者が債権者に対して債務を履行すると決められたが、第三者が債務を履行しない、又は約定通りに債務を履行しない場合、債務者は債権者に対し違約責任を負う」。従って、返済代行の場合は、債権者の同意を得る必要がなく、第三者も契約当事者ではない。本件は明らかに返済代行に該当しないと思われる。

        もう一つは、狭義の債務移転である。その法的根拠は、『契約法』第84条であり、即ち、「債務者は契約義務の全部又は一部を第三者に移転する場合、債権者の同意を得るものとする」。狭義の債務移転の場合に、債務者は元の債権債務関係の全部又は一部を脱離し、債権者に対し返済義務を負わない。従って、第三者と債権者間に、第三者が債務を返済し、債務者が責任を負担しないというような約定があれば、第三者が返済義務を履行しない場合も、債権者は元の債務者に債務の履行を主張することができない。

        併存的債務引受については、現行法律には明確な規定がない。司法実務において、一部の地方裁判所の文書ではこの問題について言及した。例えば、『<中華人民共和国契約法>の適用における若干問題に関する江蘇省高級人民法院の討論紀要(一)』第17~19条では、下記の通り「併存的債務引受」の判断規則を明確にしている。(1)「併存的債務引受とは、第三者、債権者、債務者の当事者三方により協議書を締結する、又は第三者と債権者の当事者双方により協議書を締結する、又は第三者が債権者に対し債務者の債務を履行するという一方的な承諾を行うとともに、債務者の義務履行が免除されないという債務負担方式を指す。」(注:筆者の個人的な考えでは、上記の第三者の一方的な承諾に関することは、返済代行と混同される恐れがある。)(2)第三者と債権者が契約において「債務者の義務履行を免除する」ことを明確に約定していない場合は、債権者は債務者に債務の履行を主張することができる。(3)契約には責任の形態について約定がある場合を除き、債権者は第三者と債務者に対して連帯責任を負うよう請求することができる。要するに、併存的債務引受は実質的に債務者の数を増やすと理解すれば良い。司法実務の観点は江蘇省高級人民法院の意見と基本的に同じである。

        個別案件において具体的な判断をするにあたり、最高人民法院の観点はおよそ以下の通りである。「契約又は協議書において「返済を承諾する」、「自らの意思で負担する」、「返済を代行する」など、約定の表現を問わず、債務者が責任を負担しないというような明確な約定がない限り、第三者の行為は併存的債務引受と認定される(例えば、[2006]民二終字第199号、[2014]民申字第460号、[2013]民四終字第22号、[2014]民申字第1250号、[2010]民提字第153号)。

        従って、企業はC社のような行為を行う場合、返済代行、狭義の債務移転、又は併存的債務引受のいずれかに該当するかを明確にした上で、前述の規則に合致する約定を行うべきである。