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    環境保護は、企業の「金縛りの法」になるのか?

        2015年初頭より、「史上最も厳しい」と呼ばれる『環境保護法』が正式に施行された。2016年1月以来、中国中央政府は4つの環境保護監督検査グループを派遣し、各省?市の環境保護状況について監督視察を行った。腐敗を取り締まる強い権限を持つ中国共産党中央紀律検査委員会と人事任免権を持つ中国共産党中央委員会組織部が関与したおかげで、大きな「成果」を収め、1万人以上が問責された。又、上記の「環境保護の嵐」と並行して、『環境保護法』の付随規定も足早に制定されている。『水汚染防止法』改正案、『環境保護税法』が可決され、2018年1月1日より施行される予定である。『土壌汚染防止法(草案)』は2017年の間に意見が募集されており、近いうちに正式に公布される見込みである……

        多くの企業は、環境保護問題により企業の支出を増やし、成長を制限する「金縛りの法」と思うだろう。しかし、、長い目でみれば、理性的な対策は、環境保護に関わるリスクを直視し、環境保護政策を活用し、環境保護の強化による商機をつかむことである。具体的には、以下の通りである。

        第一に、企業の環境リスク?コンプライアンスの問題点を洗い出し、環境コンプライアンスについて定期的審査?改善メカニズムを構築することである。

        企業の環境リスクと言えば、大きく分けて内部リスクと外部リスクの二つがある。

        内部リスクとは、企業の製品製造が環境保護現行規定に合致するか否かを指す。企業は、自社の製造過程における工芸、材料、包装、運送などが現行法律法令、所在地の規定、基準などに合致するか否かについて全面的な検査?評価を行い、それを自社の環境コンプライアンスの審査?評価のベースとする。その上で、環境保護の状況に対して定期的な検査?評価を行い、コンプライアンス違反問題を適時是正する。

        外部リスクとは主に、企業の仕入先の生産経営行為により企業に及ばされる不利な影響を指す。

        ドイツ系企業のシェフラー(Schaeffler)会社の「要望書」事件は恐らく最も典型的な事例である。シェフラー会社の唯一の供給者である界龍会社が環境保護の関連基準に達していなかったため生産停止を命じられた。そして、シェフラー会社は、政府に対し要望書を提出して働きかけたが、結局拒否された。つまり、環境コンプライアンスにおける内部リスクの以外に、企業は仕入先に対し環境保護コンプライアンスの評価審査を行い、リスク警告体制を完備すべきである。

        要するに、企業は主に2つの面からリスクを予防すると考えられる。(1) 仕入先の生産に関わる法律法令による要求、企業の内部管理制度、汚染物排出、生産工芸、設備の使用状況、エネルギー及び水の消耗などに対して十分に調査評価を行い、それを取引関係構築の前提とする。又、契約において仕入先の環境保護に関する義務及び責任を明確に約定することにより、リスクを低減?移転する。(2)できる限り供給者を一社に限らず、多角度から供給者を評価して選択し、かつ各供給者の生産、環境コンプライアンス状況に応じて、各供給者への注文の割合を調整する。又、供給者の環境コンプライアンスに対する定期的な再検査メカニズムを設けて実施しなければならない。

        第二に、企業は、環境政策を契機に有利な条件を創出する。

        『環境保護税法』では企業に有利な税金減免規定を定めており、その内、以下の項目が含まれている。(1)大規模な養殖以外の農業生産によって排出される課税汚染物質を免税対象とし、納税者が基準に従い総合的に利用する固体廃棄物を一時的に免税対象とするなど5つの免税措置。(2)納税者によって排出される汚染物質の濃度が国?地方の排出基準値を下回る程度に応じて、2種の減税措置を講じる。従って、減免税規定に合致する企業は各省?市の関連規定に留意し、予め減免税の申請準備をしておく必要があると思われる。

        又、環境保護を推進するために、各省?市は、企業の「クリーン生産」を奨励するための政策を打ち出す見込みで、企業はそれらの新政策に留意しうまく利用するよう勧める。

        第三、企業は環境立法の動向を把握し、商機を拡大する。

        『水汚染防止法』、『土壌汚染防止法』等の改正と施行につれて、一部の企業は淘汰される。これは競業他社が技術的な優位性を発揮し、「良貨は悪貨を駆逐する」ことにより、市場占有率を拡大する絶好なチャンスであれば、.水処理や土壌管理など先端技術を保有する外資企業が中国市場を開発する有利な時期でもある。

        上記の纏めとして、環境保護は「諸刃の剣」であり、企業がうまく対応できなければ、企業の成長を阻害し、「金縛りの法」又は「命取り」になるかもしれないが、企業がうまく対応できれば、企業の成長を促進する「加速器」になれる。