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    病気休暇管理における二つの落とし穴

        李さんは2013年7月に卒業、同年9月に北京A社に入社した。李さんは、入社後2014年1月20日から7月19日までの計79日の病気休暇を取り、また8月にも31日の病気休暇を取った。2014年9月1日、A社は李さんの医療期間が3ヶ月を超えたことを理由に、一方的に李さんとの労働契約を解除した。李さんは労働仲裁を申請し、仲裁の結果、A社は敗訴となった。

        本件について、A社の病気休暇管理には二つの落とし穴があった。その一つは、医療期間の計算方法、二つ目は、医療期間満了後の労働契約解除問題である。

        医療期間の計算については、従業員がばらばらに病気休暇を取るので、『企業従業員の罹病又は業務に拠るものではない負傷による医療期に関する規定」によると、医療期間は、労働者の実際勤続年数及び本企業での勤続年数に応じて分けられる。そのため、医療期間の計算周期(特に起算時点)及び複数にわたるの医療期間内の病気休暇日数の計算に関する問題が実務において多発している。関連の法律規定によると、医療期間の計算周期とは、病気休暇を累計する周期をさし、初回の病気休暇の日から起算する。本件において、李さんは「実際の勤続年数が10年以下であり、本企業での勤続年数が5年以下である」という状況に該当するため、医療期間は3ヶ月であり、1月20日から起算すると、7月19日までとなる。また、その次の医療期間は、あとの疾病にかかる病気休暇の初日(8月1日)から起算するため、上記の二つの医療期間内における病気休暇日数を一つの医療期間に合算してはならない。従って、本件においては、A社が李さんの8月の病気休暇日数をその前の医療期間に合算したことは間違いである。実務において、特に注意すべきことは、医療期間の計算について、一部の地方では特殊な規定が定められていることである。例えば、上海では、医療期間は労働者の本企業における勤続年数のみによって確定されるため、入社1年目は、医療期間は皆3ヶ月である。その後勤続年数に応じて、1年ごとに、医療期間は1ヶ月増えていき、24ヶ月を超えないと規定している。

        医療期間満了後の労働契約解除も労働紛争の「導火線」となることが多い。『労働契約法』の関連規定では、労働者に過失がない場合も、その医療期間が満了した時点で労働契約解除を認めている。しかし、多くの企業は、往々にその前提条件、即ち、関連の法律による医療期間の満了後、使用者は労働契約を解除する場合に、「労働者が元の業務に従事することができず、雇用企業が別途手配した業務にも従事することができない」という規定を見落す。医療期間満了後、使用者が直ちに労働契約を解除することは、明らかに法律規定に違反する。

        実務における病気休暇の管理について、上述の二つの落とし穴を取り除き、病気休暇の審査承認、病気休暇中の賃金基準などの点も使用者が重視すべき問題である。