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    「白タク」を利用する場合の労災認定と企業応対

        張さんは家から「白タク」を利用し通勤していた際に、「白タク」が交通ルールを違反した車両と衝突し、その結果張さんは、負傷した。張さんは会社に労災認定を申請したが、会社は張さんが営業許可のない「白タク」を利用したため、労災には該当しないと返事した。その後、張さんが労働仲裁を提起したところ、労働仲裁委員会は労災に該当すると裁定した。

        『社会保険法』と『労災保険条例』の規定によると、中国の労災保険は無過失責任原則を採っており、労働者が、①通勤途中、及び②本人に主な責任のない、という二つの条件を満たしている状況下で、交通事故に遭った場合、労災と認定される。『労災保険条例』第16条では、犯罪、治安管理違反などの状況を労災適用除外対象とし、「白タク」を利用することは明らかに当該状況に該当しない。更に、2014年に新しく公布された『最高人民法院による労災保険行政案件の審理に係る若干の問題に関する規定』では、「通勤途中」の判断基準を明確し、即ち①合理的な時間内、及び②合理的な経路という条件を満たしている場合は、「通勤途中」であると認定する。つまり、交通手段の合法性は考慮要素に当たらない。本件において、張さんは合理的な時間内に居住地から勤務先への途中に交通事故に遭ったため、「通勤途中」であるという条件を満たしており、且つ本人が事故について主要責任を負わないため、労災と認定されるわけである。

        しかし、「白タク」の利用によって交通事故発生のリスクが増すことは事実である。では、企業は従業員が「白タク」を利用することをいかに抑制し、従業員の通勤途中での労災事故発生率をいかに低下させるべきか?

        実務において、一部の企業は、対策として、労働規則において「白タクに乗ってはならない。違反した者に対して懲戒解雇する。」と規定する方法を取っており、即ち、無資格で営業している車両を利用することを、企業が一方的に労働契約を解除する理由としている。実は、このような規定の適法性については議論がある。例えば、蘇州のある労働争議事件において、労働仲裁委員会は、会社の労働規則は法に従い制定されるため、合法且つ有效なものであり、会社がそれに基づき労働契約を解除する決定は失当ではないと判断したのに対し、一審裁判所は仲裁裁決を覆し、「会社は規則制度の制定により正常な生産経営活動を管理する権利を有する。但し、労働過程及び労働管理範囲以外の労働者の行為について、使用者は提唱するような規定を定めることは適切であり、又それらの規定を遵守する従業員に奨励を与えることができるが、禁止規定を定めるのは妥当ではなく、更に規定に違反した従業員に懲罰を与えてはならない。」と指摘した。 

        従って、比較的妥当な対策としては、「白タク」を利用する行為を従業員評価項目に入れ、評価結果に影響を与えるようにすることで、従業員の関連行為をガイド・制約することであると考えられる。