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    被害者に支払った損害賠償は、使用者が被用者に求償できるか?

        李さんは、引っ越しの際,隣人の王さんと張さんに手伝ってもらった。鏡の運搬時に、李さんは鏡をダンボールに入れてから運搬するように王さんにお願いしたが、王さんは面倒に思い梱包せず運搬した。しかし、その結果、ある不注意で張さんが腕にひっかき傷を負ってしまった。。張さんは李さんに対して訴えを提起し、最終的に裁判所は李さんがその損害を賠償する旨の判決を下した。このような場合、李さんは賠償責任を果たした後、王さんに求償することができるのだろうか?

        『権利侵害責任法』第35条によると、個人間で労務関係を形成し、労務を提供する側が労務により他人に損害を与えた場合、労務を受け入れる側が権利侵害責任を負う。当該規定は無過失責任原則を採用する、即ち、使用者は、その過失があるか否かを問わず、被用者が他人に与えた損害について責任を負わなければならない。これは主に、被害者の権益を保障するためであり、特に被用者に特殊な状況がある場合、例えば生計の維持を労務報酬に頼る、又は人間関係の付き合い(例えば、本件のように隣人に手伝ってもらったこと等)により労務を提供する時に、使用者側に責任を負わせるほうが合理的である。しかし、『権利侵害責任法』では、労務を受け入れる側に過失がなく賠償の責任を負った場合、後に労務を提供する側に求償権を行使できるか否かについての規定は定めていないため、裁判所は個別案件の状況に応じてケースバイケースで処理することとなっている。

        では、司法実務により反映されている状況から見れば、使用関係の関連主体はどのようなことに注意すべきか?

        まず、他人の労務を引き受けるのは慎重に考える必要があると思われる。引き受けたくない場合は、明確に拒否するべきである。例えば、れんがを運搬している李さんを見た張さんが手伝いを申し出たところ、李さんはそれを断った。皆の前で何回も拒否したにも関わらず、張さんが運搬を手伝ったところれんがが落ちて通行人にぶつかってしまった。この場合、李さんと張さんとの間には「使用関係」が形成されておらず、李さんは賠償責任を負う必要がないと思われる。従って、実務において、他人の労務提供を拒否する場合は、ショートメッセージやメールや電話録音などの方式により、拒否の意思をはっきりと表示することを勧める。さもなければ、明確な拒否を示す関連証拠が不十分である場合は、「使用関係」と認定され、更に賠償責任を負う判決を下される可能性がある。

        次に、被用者側は労務提供の過程において、故意に又は重大な過失により第三者へ損害を与えないようするため、使用者側の合理的な安全指示に従うべきである。裁判所は自由裁量権を行使するときに、往々に行為者の行為が情理に合致するか、または行為者が当該行為により引き起こし得るリスクを合理的に予測できていたか等から考慮する。その答えが、否定的であれば、被用者側に一定の賠償責任を負わせることとなると思われる。

        最後に、被害者にとって、『権利侵害責任法』では、個人労務関係における権利侵害責任の主体を使用者と限定しているが、「使用関係」の存否が不明確である場合は、被用者と使用者の両方を被告としたほうが有利であると思われる。一部の地方裁判所では、使用関係の存否を判断できない場合には、双方に連帯責任を負わせる傾向があるからである。