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    商標不使用取消制度における商標の「使用」

        商標の役割は主に商品製造者又は販売者を識別する、商業価値を示す、商品品質を保証するなどにあり、又それらの役割は商標の実際の使用においてのみ反映される。従って、『商標法』では、商標不使用について相応の規制措置を規定している。『商標法』第49条には、「登録商標……正当な理由を有せず、継続して3年間使用していない場合、いかなる企業又は個人も商標局に当該登録商標の取消を請求することができる。」と規定している。但し、商標の「使用」とは一体何を指すのか、司法実務において、特定の商標が「使用されている」か否かをいかに判断するかは、実務上肝心な問題である。 

        商標の「使用」について、2013年8月に改正されるまでの『商標法』には規定がなく、『商標法実施条例』第3条には、「商標を商品、又は商品の包装や容器、及び商品取引文書に用いる、若しくは広告宣伝、展示及びその他の商業活動に商標を用いることを含む。」と規定している。当該条項は商標使用の形態を列挙した上、包括的規定(「及びその他の商業活動」)を定めているが、使用の目的については明確に限定していない。文面から読めば、数年間で若干件数又は回数しか販売していない「使用」行為(即ち「名義上の使用」)は、商標の「使用」の定義から除外されていないようである。従って、実務において、一部の登録商標所有者は、ごく少量の商品を販売したり、又はたまに広告を行ったりすることによって、法律規定を充足するため見せかけで使用をすることが多い。   

        この問題に対して各地の裁判所は、司法実務において、一般に商標役割の観点から、前述の規定について拡張解釈を採り、「正常な商業活動における」使用を商標「使用」の要件として、商標権者から提供された販売行為を証明する証拠が不十分(例えば、相応の領収書がないなど)、又は広告が商標権の紛争・帰属を巡る手段にすぎないなどの理由で、関連商標の「使用」主張を否定することが多い。しかし、直接に商標の「使用」の目的から分析して、「名義上の使用」を否定する判決は殆どない。 

        2013年8月改正後の『商標法』第48条には、「本法でいう商標の使用とは、商標を商品、又は商品の包装や容器、及び商品取引文書に用いる、若しくは広告宣伝、展示及びその他の商業活動において商標を使用する、又は商品の出所を識別する等の行為を指す。」と規定している。新規定においては、商標の「使用」の目的について明確に限定し(即ち、「商品の出所を識別する」)、根本的に言えば、「商品の出所を識別する」ことができない「名目上の使用」を否定しており、言い換えれば、「名目上の使用」は商標の「使用」の要件を満たしていないことになり、登録商標の取り消されるリスクは高くなる。

        次に、実務においてもう二つの商標の「使用」に関する問題について、検討する価値があると思われる。一つは、著名商標の「使用」には特別規則が存在するのか。即ち著名商標を一部の登録済み区分(分類)のみに「使用」し、そのほかの登録済み区分に「使用」していない場合、商標を使用していない区分における登録は商標不使用取消の対象に該当することになるのかということである。もう一つは、一つの区分で複数の指定商品を登録しており、一部の査定商品にしか商標を使用していない場合、商標を使用していない査定商品において、商標登録は取消対象に該当するのかという問題である。

        上述の問題について、中国の法律及び関連の司法解釈において、明確な規定がない。但し、関連の判決により、司法部門の対応姿勢や若干の規則がある程度把握できる。下記にて、二つの判決例で説明する。

        広東太陽神グループ有限公司と国家工商行政管理総局商標評審委員会等間の商標行政紛争事件において、北京第一中級裁判所は判決書において、次のように論じた。「太陽神グループが第32区分に登録した栄養補給飲料などの商品に用いる第323481号登録商標は著名商標であり、当該著名商標と拒絶査定不服審判に係る商標の標識は両方とも「APOLLO太陽神及図」になっているが、異なる商品に使用を査定する登録商標である。我が国の商標法の「継続して3年間使用していない商標は取り消される」とされている規定には、著名商標に関する例外規定が定められていない。言い換えれば、中国の法律、規定では、拒絶査定不服審判に係る商標が著名商標と認定されたということは、「継続して3年間使用していない商標は取り消される」という規定の適用除外対象とされておらず、又拒絶査定不服審判に係る商標の標識と同一で、ほかの区分において登録された商標が著名商標と認定された場合も、拒絶査定不服審判に係る商標について「継続して3年間使用していない商標は取り消される」という規定の適用除外対象とされていないということである。従って、太陽神グループが主張した第323481号登録商標は著名商標であるということは、本件に関係しない。著名商標に対する法的保護を拒絶査定不服審判に係る商標まで拡大すると考えるべきという太陽神グループ側の主張は、法的根拠がないため、本裁判所は支持を与えない。」

        上記裁判例は、一つ目の問題に対して肯定的な答えになりえるだろう。

        博奥生物有限公司と国家工商行政管理総局商標評審委員会等との商標行政紛争事件([2008]高行終字第334号)について、北京市高級裁判所は二審判決書において、以下のことを指摘した。「商標法実施条例の実施前に、商標法であれ商標法実施細則であれいずれにしても、複数の商品に対して登録された商標を3年間継続してそのうちの一部の商品に使用していない場合、それらの商品での商標登録を取り消すというような規定は明確に定められていない。また、商標法実施細則第29条の規定によると、商標登録者が商標の使用に関する証拠を提供せず、又は提供した証拠が無効と判断される場合、商標局はその登録商標を取り消す。当該規定では、登録商標を一部の査定商品のみに使用している場合、全ての査定商品において登録を維持するかそれとも取り消すかについて、明確にされていない。法律、行政法規の規定において複数の解釈が可能な場合は、権利を制限するのではなく、権利を維持する解釈を採ることが、一般的な規則とされるべきである。」 当該事件発生時に、『商標法実施条例』がまだ施行されていなかったため、裁判所は権利を維持する決定を下した。但し、『商標法実施条例』の施行後、その第41条の規定(「商標局、商標評審委員会より取り消された登録商標について、取消事由が一部の査定商品のみに限った場合は、当該査定商品に使用されている商標登録を取り消す。」)に基づくと、3年間継続して一部の査定商品に使用していない場合、これらの商品での商標登録は取消の対象に該当する。   

        つまり、原則として、登録商標はあらゆる査定商品に使用されるが、実務において、一部の査定商品において取消申立を提起する状況は極めて珍しい。多くの場合、特定の区分での商標登録について取消申立が提起されるため、一部の査定商品に登録商標を使用していない場合は、取消申立を提起される可能性は比較的低いだろう。