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    定年退職者の雇用と管理

        定年退職者とは、関連法律又は法規の規定により、労働者が年齢、職種及び労働能力などの要求に符合する場合に元使用者との労働契約を終了し、養老保険待遇を享受する者を指す。最近では、ハイテク技術を身に付けている定年退職者が関連分野の会社に雇用され、引き続き役割を発揮することがよくある。 

        しかしながら、定年退職の再就職者と会社との関係は通常、平等な主体間の「労務関係」(付注:従属的労働関係と区別する意味での労務供給関係を指す)と認識されている(依拠:『労働部による労働契約制度の実行の若干問題に関する通知』、『労働部弁公庁による「労働契約制度の実行の若干問題に関する質問」についての回答書簡』など)。従って、会社は定年退職者の雇用と管理における法的リスクを軽減するために、雇用に関する特別な規則を制定し、管理に関しても特別な注意を払う必要がある。 

        定年退職者の雇用について、会社は少なくとも以下の方面において特別な規定を定める必要がある。 

        まず第一に、現行の法律法規では、雇用協議書の内容についての規定が原則的で全面的でないものに止まっているため、会社は定年退職者と書面にて雇用協議書を締結し、また雇用後の紛争発生の可能性を低くするため、雇用協議書において、雇用期間内に事故により傷害を被った場合の取扱や勤務時間、残業待遇、会社の特別福利厚生(例えば、社内旅行など)を享受するのか、また協議による解除の条件など関連の事項を明確に約定しておく必要がある。 

        次に、労働基準の適用について。再雇用される定年退職者は『労働契約法』の適用対象外の特殊な「労働者」である。そのため、普通の労働者を規制する『労働法』、『労働契約法』などの関連規定、例えば、勤務時間に関する規定、労働保護に関する規定、最低賃金に関する規定等が再雇用される定年退職者に適用されるかどうかについては、現時点で国の統一的な規定がない。一方、上海など一部の地方では、再雇用される定年退職者に対して、『労働法』、『労働契約法』などの関連法律、法規による勤務時間、労働保護及び最低賃金等の規定を参照し相応の労働基準を執行しなければならないと明文化されている。
     
        さらに、労災問題。この問題についても、関連の法律又は法規に明確な規定がなく、また再雇用される定年退職者に対して『労災保険条例』を適用できるかについて、各地方の規定にもばらつきがあるため、実務において度々議論が生じる。一方、司法実務において、再雇用される定年退職者に労災が発生した場合、会社が責任を負うという判決が下されることが多い傾向にある。そのため、会社は地方の規定に定められる要求に基づき、業務により傷害が発生した場合の責任負担について、再雇用される定年退職者と約定を行あらかじ行っておく。、又、可能であれば、人身意外傷害保険へ加入することによって、企業は経済的リスクをある程度下げることも考えられる。 

        定年退職者の再雇用管理における企業側の注意すべき2つの問題は以下の通りである。

    一つは、企業が再雇用する定年退職者が、元使用者に対して関連義務があるかどうかについての審査を重視すること。再雇用される定年退職者の一部は業界の先進技術を身に付け、元使用者との間に競業避止又は営業秘密保持に関する約定を結んでいる可能性がある。定年退職者を雇用会社は、起こりうる法的責任を回避するために、関連の定年退職者の背景、元使用者との関連約定があるか否かを確認の上、協議書による約定を交わす方法で、法的リスクを最小限に抑えるようすべきである。 

        もう一つは、会社が再雇用する定年退職者に対する社則制度の適用について重要視すること。再雇用される定年退職者に対する社則制度の適用、つまり、再雇用される定年退職者による社則制度の遵守義務については、現行の法律法規では明確な規定が定められていない。又、前述したように、再雇用される定年退職者と会社との関係は、平等な主体間の契約関係と認識されている。従って、会社とその再雇用する定年退職者間に明確な約定がない場合、再雇用される定年退職者は会社の規則制度を遵守する義務を有するか否か、又遵守義務があるとした場合、それらの規則制度の範囲を如何に確定するかなどについては、実務においても議論がある。そのため、会社は、再雇用される定年退職者を有效に管理するために、少なくとも以下のルールを設けなければならない。(1)再雇用する定年退職者との関連協議書では、当該定年退職者の社則制度の遵守義務を明確に約定する。(2)関連の定年退職者に、その遵守すべき社則制度を合理的な方式で通知又は告知の上、署名してもらう。