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    労災の認定について

        大風会社の営業マンである陳君は、ある日、顧客李氏の誘いに応じ、外出先でトランプでかけごとをした。その結果、数時間のうちに、李氏に2万元も負けてしまった。二人は、一ヶ月以内に陳君が2万元を支払うことを約束した。1ヶ月後、李氏は、何回もお金を催促したがなかなかもらえないため、大風会社に陳君に会いにいった。しかし話し合いはうまくいかず、二人は揉め、最後には殴り合いの喧嘩にまでなってしまった。その結果、陳君と二人の喧嘩の仲裁に入った同僚の王さんが、怪我を負った。その後、陳君と王さんは、二人とも労災の認定を申請したが、王さんしか労災と認定されなかった。これは、何故だろうか。

        『労災保険条例』第14条、第15条、第16条は、それぞれ労災の適用状況、労災とみなす状況、労災の適用除外状況を規定している。しかし、それぞれの状況を詳しく列挙することができないため、実務上、、特殊な事件の場合、具体的な情況を分析の上、労災であるかどうかを確認する必要がある。

        本件において、陳君は、自らの状況が第14条が定める「勤務時間中及び勤務場所内において、業務上の事由による事故で負傷したとき」に合致すると主張した。第14条が定める労災は、「勤務時間」、「勤務場所」、「業務上の事由」、「事故」という四つの要件を具備しなければならず、その内「業務上の事由」がキーポイントになる。「業務上の事由」による負傷は、二つの状況に分けられる。一つは直接的原因によるもの、即ち勤務において具体的な業務を行う際に負傷した場合、もう一つは間接的原因、即ち問題を解決するために回避できない、また正常な業務と不可分の関係にあたり、必要的且つ合理的な生理的欲求を満たすために負傷した場合である。司法実務においては、一般的に「業務上の事由」の推定原則に従う。「業務上の事由」の推定原則とは、従業員が傷害を受けた事実があり、且つ従業員が受けた傷害が確実に勤務時間内に勤務場所にて発生したものである場合には、業務上の事由によらない傷害の場合を除き、従業員が受けた傷害は業務上の事由によるものであると推定することを指す。

        本件において、陳君は自分の怪我が顧客を接待する際に発生した債務によりもたらされたと主張した。しかし、法律の観点から見て、トランプでお金もかけることは賭博になるため、正常な業務ではなく違法行為に該当し、「業務上の事由」という要件を満たすことができないと考えられる。一方、会社管理の立場から見ても、会社の規則制度に禁止規定が有無を問わず、トランプは営業を遂行するために必要な手段とは考えられず、会社の規則制度に違反したため相応の処罰を受ける可能さえある。

        よって、陳君は労災と認定されるべきではない。王さんについては、けんかの仲裁をすることは業務上の必要事項ではないが、勤務場所を業務の関連要求に合致させ、人身と財産安全のリスクを低減させるものであったため、労災と認定されるべきであると考えられる。